企業経営のノウハウ

組織活性化のためというけれど、飲み会は本当に必要?(2ページ目)

春はお花見、夏は暑気払い。秋は月見に、冬は忘年会に新年会。ことあるごとに飲み会が開かれます。人事異動の前後には、送別会や歓迎会、新入社員歓迎会もあるでしょう。あるいは、組織活性化のために、という名目で開かれることもあります。確かに、飲み会は組織活性化には役に立つと多くの人が思っているようです。本当に飲み会を開いていれば組織活性化に繋がるのでしょうか?

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

協力できる関係作り

逆に会議ではコミュニケーションの中身が大変重要となります。メモを取ることはもちろん、議事録を残すケースもあります。事前に会議の中身が告知されることもあります。会議を重ねることで親しくなりますが、それも限度があります。ですので、長期の関係を保つ場合に、どこかで飲み会や食事会がセッティングされていきます。

オフサイトミーティングは、中身もさることながら、相手の人柄を感じるということが大事となります。長い自己紹介が行われ、それを他の参加者はじっくりと“聴き”ます。普段、自分自身の話をじっくり聞いてもらえる場はないので、非常に心地よく話ができます。
じっくりと話を聞いている様子

じっくり耳を傾け、各自のプロフィールを聴いてあげることが関係作りに効果あり



お互いの自己紹介を通じて、各自の考え方のバックグラウンドが理解でき、普段の会話の真意が読み取れるようになります。腹を割って話ができる関係に進展するでしょう。協力できる関係作りが可能となります。

確かに飲み会の場でも各自の自己紹介がされることはありますが、酒の肴程度の扱いであり、お酒も入って、最後まで真剣に“聴く”ことは難しいでしょう。また、トラウマになっている重たい話はあまり相応しくありません。どうしても“うける”話が中心となり、その人のバックグラウンドの把握には到達できないでしょう。

飲み会の活用の仕方

では、飲み会を組織活性化の中でどのような位置づけで活用すれば良いのでしょうか。会議、オフサイト、飲み会の役割を整理しますと、会議は仕事を進める場、オフサイトは協力できる関係作りの場、そして飲み会は仲間意識の醸成の場となるでしょう。先の組織の成立要件に当てはめてみると、共通目的を認識する場が会議、協働意志の醸成の場がオフサイト、飲み会はコミュニケーション活性化の起爆剤となるのでしょうか。

仕事を進めるには、会議は随時開催されることになります。その会議の前には、オフサイトを開催して各自の考え方の背景を把握しておくことは、腹の割った会議にしたければ必要となるでしょう。そして、ところどころで飲み会を開催して、私たちは仲間だ、仲良くなれるはずだ、という認識を醸成しておくことは大事かもしれません。

飲み会だけ開催して、仲良くなったとしても、その後にその仲良さを有効活用しないと、組織目標に到達できません。お互いをさらに知り合う場も必要でしょうし、その知り合った中で仕事を進める会議も必要でしょう。

飲み会は組織活性化に必要か、と言われたら、組織の結束を強める、ここぞという時に活用すると効果を発揮するのではないでしょうか。会議や普段の仕事をスムーズに進めるには、人間であるかぎり、飲み会、食事会は必要なのではないでしょうか。
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