更年期に起こりやすい心の変化とストレス
少し動くだけでしんどい、横になりたい――そんな日々が続くと憂うつに
更年期には、体調の変化に伴って憂うつ、苛立ち、不安、あせりなどの感情の乱れも生じ、気持ちが不安定になりがちです。さらにこの時期には、家族の状態もダイナミックに変化していくため、家族関係も危機に陥りがち。まずは、更年期に多い心の変化とストレスからチェックしてみましょう。
その1. 疲れや体調の変化で、家事や仕事も思うように運ばない
更年期にはホルモン分泌が乱れることで、自律神経系にも影響が現れ、上に述べたような不快な体調不良が起こります。こうして疲弊した体を和らげるためにたくさんの休息を必要とし、少し動くだけでしんどくなって横になりたくなるものです。そして気がつけば、家事にも手がつかずソファで寝そべってばかり、昼寝をしてばかりの状態になっていくと、「たっぷり休んでもよくならないのはなぜ?」と落ち込み、「だらけているだけでは? 怠けているだけでは?」と自分を責め、「このままの不調がずっと続くのでは」といった不安に襲われがちになります。
また、仕事をしている女性は、毎朝会社に向かうだけでも重労働に感じられ、仕事が終わったらいち早く家に帰って休息をとりたい、といった気持ちになることも多いでしょう。休日はどこかに出かける意欲も起こらず、ひたすら横になって体を休めたいと思う人も少なくないでしょう。そんな疲れやすい自分に自信を失いがちで、「この先、仕事を続けていけるだろうか」という不安を抱えがちになるものです。
その2. 家族のライフステージが劇的に変化
更年期の年代は、家族のライフステージに変化が現れる時期でもあります。夫は、年齢的にも仕事上での難しい立場に立たされることが多く、管理職の重責に悩む人、リストラの危機に不安を持つ人も少なくありません。こうしたなか、夫は仕事上の問題を考えるだけでも精一杯で、妻の健康状態に目を向ける余裕もないのが現実だと思います。さらに、子どもの成長と共に夫婦の会話が少なくなっていくと、夫は妻だけでなく、子どもたちとの関係も疎遠になりやすくなります。子どももまた、思春期、青年期という難しい時期に突入し、自分自身の自立の問題と格闘しています。そのため感情も不安定になりがちで、家庭でも学校でも、小さなことで葛藤したり、衝突する機会も増えていくでしょう。さらに、高齢となった両親からは、体の不調や高齢期の不安を相談されることも増えていき、介護のプレッシャーやストレスを抱えて憂うつ感が重なっていく人も少なくありません。
その3. 周囲の無理解に孤独感が募る
更年期は、体調の変化から感情面でも不安定になりやすいため、周囲のちょっとした言葉に傷つき、苛立つなどして、対人関係の問題に過敏に反応しがちです。体調を思いやれない周囲の人たちの態度に寂しさを感じたり、「ふせってないで運動でもしたら?」といった不用意なアドバイスに無理解や冷たさを感じてしまい、「誰も私のことを分かってくれない」と一人で絶望感を抱えがちです。そんな憂うつ感の反動で苛立ちも募りやすいため、カチンときた途端に感情をヒステリックにぶつけてしまう人もいます。その感情的な反応に周りが引いてしまうと、ますます自分が疎外されているような気がして、孤独感が募っていく人も少なくないでしょう。
更年期には、このようにさまざまな心の変化が起こりがちです。では、どのような心構えで生活していけばいいのでしょうか? 3つのヒントを次のページでお伝えします。