普段から何か肉体づくりはされていますか?
塩谷>踊りのために鍛えるようなことはしてないですね。つくられた肉体があまり好きじゃないんです。ダンサーってあまり好きじゃないというか、それよりも労働しているひとの肉体に惹かれます。『おじょう藤九郎さま』でえんぶりを習いに八戸へ行ったときもそうでした。農家のひとたちが振りをすると、土の感じだったりいろいろなものが見えてきて、舞台に立つと本当に面白い。彼らのような肉体に憧れているので、踊りのために鍛えるというのがイヤなんです。僕も農業をやってみたいなって思ったりします(笑)。もちろん、実際にやったら大変なんでしょうけど。でもああいう肉体を観ると、“すごいな!”ってやられちゃいます。大駱駝艦・天賦典式「ウイルス」(2012)撮影:松田純一
舞台人として普段から心がけていることは?
塩谷>くだらないことを真剣にやる。あと普通に街を歩いていても、赤ちゃんがぐずっていたり、子供の何気ない仕草、猫など動物や虫の動作を観察してます。何を考えてるんだろうって思ったり、彼らの生理的な動きを気にするようにしたり。大人でもそうだけど、例えばつまづいたり、考えた動きをしてない瞬間ってあるじゃないですか。そうやって街中で何かが起こったりすると、ぱっと見みるよう心がけています。作品にもそうした反射的な動き、生理的な動きを投影していきたいと思っています。大駱駝艦「Symphony M」@パリ日本文化会館(2013) 撮影:川島浩之