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壺中天公演 塩谷智司『太陽』インタビュー!(6ページ目)

大駱駝艦の拠点・壺中天(こちゅうてん)で振付作『太陽』を発表する塩谷智司さん。前作『父壁』は舞踊批評家協会新人賞を受賞するなど大きな評価を博し、待望の新作に期待と注目が集まります。ここでは、上演を控えた塩谷さんにインタビュー。作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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2001年に大駱駝艦に入り、今年で15年目。メンバーの中でもベテランのひとりになりました。

塩谷>いつのまにか15年です。今はもう上から4番目。早いですね。気付いたら経ってました。でも、いろいろ迷いながらやってきた感じです。全然できないなって思ったり、何でこんなにヘタなんだろうって思ったり……。今回もそうだけど、作品をつくるとやっぱり自分の力不足を感じます。ただずっと続けてきて、つまらなくなってることは全くなくて。上手くいかないとか、あぁダメだって思ったりはするけれど、興味は尽きないですね。

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大駱駝艦・天賦典式「ムシノホシ」(2014) 撮影:川島浩之


古参メンバーになった今、後輩に対して何か示していこうという意識はありますか?

塩谷>後輩に対して意識して何かを示すということは特にないですね。ただ大駱駝艦の場合は舞台や照明も自分たちで仕込んでいて、僕は以前道具頭という舞台の道具関係を管理する担当でしたので、そこはきちんとするよう伝えています。やっぱり釘が出ていたりすると怪我をして踊れなくなってしまいますから。ただ踊りに関しては後輩にあえて何か言うこともないし、僕の中では意識はしてないですね。

僕自身は先輩を見ていろいろ真似してきたし、沢山影響を受けてきました。先輩だけではなく、後輩からも影響を受ける部分は多いです。女性はまた違いがあって、柔らかかったりと真似できないことも沢山ある。見ていて、すごいな、やってみようって思ったり……。麿さんにはもちろん影響を受けてますけど、偉大すぎて圧倒されてしまいます。

大駱駝艦以外でいうと、ジョセフ・ナジさんからすごく影響を受けました。大駱駝艦のメンバー4人で彼の作品に出演させてもらったことがあって、フランスのオルレアンに数ヶ月間滞在して作品づくりに参加しました。創作法にしても、麿さんはいちから全部つけていくというやり方ですけど、ナジさんはわりと任せるタイプ。お題を出して、それぞれがやったものをぱっぱっぱっと編集していく。新鮮だったし、そのシーンの責任も出くる。発想も独特で、暗い感じではあるけれど、何か秘密事をこそこそやっているような感じで面白い。こういうことをやってもいいんだって、既成概念を取り払ってくれた。こいうひともいるんだって衝撃があったし、すごく影響を受けましたね。

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大駱駝艦「Symphony M」@パリ日本文化会館(2013)撮影:川島浩之


舞踏家としてこの先目指すものとは?

塩谷>無限の世界なので、目指すというのはたぶん違うような気がします。やっぱり師匠の麿さんのように、新しいことをどんどんやっていきたい。何が新しいことなのかというのはひとそれぞれですけど、今まで誰もやったことのないようなことをやりつつ、誰でもやれるようなくだらないことも必至にやっていきたい。あと壺中天という場が常にあり続けるような状況をつくっていきたいという想いもあります。

15年前、今こうなっているとは全く想像もしてなかったです。いきあたりばったりという感じできました。いろいろなところにツアーで行きましたし、まさか自分が作品をつくるなんて思いもしなかったし、賞をもらえるなんてびっくりでした。この先もどうなるかわからないですね。やればやるほど麿さんの偉大さが見えてくるし、難しさもどんどん見えてきます。だけど、どういう形であれ、やり続けていきたいです。

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「父壁」(2009) 撮影:松田純一



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