バレエ/バレエ観劇の関連情報

青山バレエフェスティバル-Last Show-(6ページ目)

今年3月末に閉館が決まっている青山劇場。1986年より2000年まで15回開催された『青山バレエフェスティバル』は劇場を代表する舞踊公演のひとつであり、最終公演となる今回はゆかりのダンサー・振付家が集い復活します。ここでは、『青山バレエフェスティバル』に長年出演し、佐多達枝振付作『ソネット』を踊る高部尚子さん、足川欽也さん、坂本登喜彦さんの三名にインタビュー! 作品、そして劇場への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


みなさん毎年のように青山バレエフェスティバルに出演されてきました。 

ph

 

坂本>昔は夏休み=青山劇場という感覚がありました。劇場に通うまでの夏の暑さと劇場に入ったとたんに包まれる冷気、あの空気を今もよく覚えています。外国で踊ってるダンサーも夏休みで帰ってきて青山バレエフェスティバルに出ていたので、夏になるとまたみんなと会えた。それを今の若いダンサーたちが味わえないのはちょっとかわいそうだなって思います。夏休みに日本に帰ってきても、地元では踊ってるかもしれないけれど、東京で踊るということがない。僕らにとってはそれが恒例になっていたので、なくなってしまうのはちょっと寂しいですね。

高部>青山バレエフェスティバルの幕開けって、いつも出演者たちが全員出そろってお客さまに顔をお見せするところから始まるんですよね。青山劇場って舞台が二面あるので、機構がまたすごくて。舞台に乗った出演者たちがポーズを取ったままお客さまの前に出ていくんですけど、ガーッとものすごい音を立てながら動いたり。舞台の下から出たこともありました。オープニングで演奏する『水上の音楽』も耳に残っています。あの曲を聴くと、青山バレエフェスティバルを思い出しますね。

足川>青山バレエフェスティバルもそうだし、東京フェスティバルバレエでツアーを組んだり、数え切れないくらい青山劇場に立たせてもらってきました。円形劇場も含めて思い出がいっぱいあります。

高部>円形劇場もかなり出ました。お客さんがすぐ目の前にいて、近いとやっぱり緊張しますよね。

足川>おふたりは第一回青山バレエフェスティバルに出て、最後も出る。坂本さんなんて、当時は男性の中で一番若いくらいだったんじゃない?

ph

 

坂本>今回はおそらく最年長です(笑)。本当に故・高谷静治さん(演出家・プロデューサー。青山劇場の創設に参加。青山バレエフェスティバルを開設するなど数々の公演を手掛けた)の功績は大きいと思う。僕らが声をかけてもらったのは、ちょうど高谷さんが劇場を盛り上げようといろいろ活動していた頃で、一番その恩恵を受けた世代だと思います。

足川>やっぱり三人で踊る機会ってなかなかないし、坂本さんと踊る機会というのは若いときから本当に多かったので、また一緒に作品をつくっていけること自体が嬉しい。肉体はついてかないかもしれないけれど、気持ちだけは途切らせないように最後まで頑張りたいと思います。

坂本>
彼らと踊れるならそれほど怖くはないというか、踊り手としてとても信頼しいてるふたりなので、この三人だからできることがきっとあると思っていて。まずこういう企画をいただいたことに感謝していますし、こういう企画がなければこの年になってこの三人で踊れることってなかっただろうなって思う。若いひとは若いひとでばしっとやるだろうし、僕らは僕ら三人で佐多先生の世界をこの年なりにあの空間で表現できたらと。育ててもらった劇場で、その空間を楽しみながら、自分たちで体感しながら踊りたいと思っています。

  • 前のページへ
  • 1
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます