メンタルヘルス/詐病・心気症・思いこみによる病気

あなたの考え方を不合理的にさせる「思考障害」とは(2ページ目)

私たちが考える内容はその日の気分を含め、多くの事に影響されます。その内容によっては精神症状、特に思考障害を反映している可能性もあります。今回は思考内容に実際どのような問題が起こり得るのか、そして対処が望ましい場合などを詳しく解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

思考内容に不合理が増す原因は?

思考内容の不合理は思考障害に特徴的ですが、私たちは物事を常に合理的に考えるとは限りません。例えば、迷信を担ぐ方は少なくないかと思います。例えば、「今日は三隣亡だから、普段より気を付けねば!」と思った人が道で転んでしまえば、「やっぱり今日は三隣亡だから……」と、納得するかもしれません。その納得はあまり合理的ではないですが、時間をかけて転んだ原因を正確に分析するよりも、むしろ何かのせいにして、さっさと気を取り直した方が実際的かもしれません。

思考内容に不合理性が増す原因はさまざまです。完璧主義的傾向が強いなど、元々のパーソナリティから思考内容に何らかの問題が現れやすい場合もあります。また、その時の気分も思考内容に影響しやすいものです。

気分が良いと、場合によっては誇大妄想的なアイディアが浮かんでくるかもしれません。反対に気分が悪いと、場合によっては何か悪い病気に罹っていると思い込んでしまう場合もあります。また、ストレスが強くなれば、他人の言動を過剰に受け止めてしまうかもしれません。

思考内容の不合理は場合によっては何らかの医学的問題や「妄想性障害」など心の病気の症状として現われることもあります。例えば、「自分の行動は逐次、第三者に見張られている」といった妄想が強まってしまった結果、生活に深刻な支障が生じている場合、精神科的治療が望ましくなります。

ところで、思考の不合理は自分では気づかなくても、他人はすぐそれに気付くものです。例えば、「今日は三隣亡だから転んだよ!」と、職場で口にした時、同僚の苦笑いを見て、「ちょっと変な事を言ったかな?」と自分のこだわりに気付くかもしれません。

人とのコミュニケーションはそれ自体、心の緊張を取り、ストレス対策の重要な手段の一つです。また、それは自分の思考にあるかもしれない不合理の拡大を防ぐ手段にもなります。言わずもがなでしょうが、家族や親しい友人、さらには職場の同僚など、人とのコミュニケーションはしっかり大切にしていきたいものです。


最後に皆さま、この日、一日いったいどのような事を考えられましたか? あらためて思い直してみると、意外な気付きもあるでしょうが、もし不合理の芽に気付かれた際はしっかりそれを摘み取っていきましょう。


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