フルモデルチェンジしたダイハツ新型ムーヴと軽自動車規格撤廃論
ダイハツが人気軽自動車『ムーヴ』のフルモデルチェンジを行った。印象を簡単にまとめると「軽自動車規格の終了に向けた第一歩を踏み出しましたね」。言うまでも無く軽自動車は普通車よりランニングコストが低い。なぜか? 必要最小限の移動手段という大義名分があるからだ。
実際、公共の交通機関のとぼしい地域に行くと、通勤だけでなく、買い物にも行けない。自動車は大切な足になってます。軽自動車規格撤廃論が出る度に、このあたりが論議になってきた。逆に考えると、軽自動車規格を長く存続させようとしたら、白ナンバーの普通乗用車と違う質実剛健さが必要。
という観点から新型ムーヴを見ると、もはや普通乗用車と全く変わらないクルマ作りを目指している感じ。広報用の写真からして、豪華な外装を持つ『ハイパー』なる新登場の最上級モデルをイチオシしてる。上の写真を見ると、おそらく皆さん「カッコいいね!」と思うことだろう。
マジメなクルマ作りの意欲作 新型ムーヴのおすすめはL"SA"
軽自動車に限らず、クルマを買うときはついつい太っ腹になりがち。普段の買い物だと3万円すら考え込む。されどクルマのオプションは5万円だって気軽に付けてしまう傾向。確かに新型ムーヴの価格を見ると、最も安価なグレードなら113万4000円で、内容を考えれば納得出来る。
しかし! 実際に買おうとすれば、4~5万円刻みでドンドン装備が良くなっていくのだった。100歩譲って、自動ブレーキに代表される機能面の向上なら安全性があがるわけだから納得だ。されど新型ムーヴに設定された『ハイパー』を見ると、オシャレ&豪華さの追求で161万円!
同じダイハツでもエアコンやエアバッグ付きで76万円から買えるミラ・イースなら生活の道具と言い切って良い。161万円を出せば燃費の良い安全装備をフルに付けたホンダ・フィットのような普通乗用車が買えてしまう。ここまで来ると「移動の足」という概念じゃなくなってきます。
豪華さを追求した新型ムーヴの『ハイパー』を見ると、増税されていく発泡酒や第3のビールのような流れになっていくんじゃなかろうか心配になる。2014年12月22日にフルモデルチェンジを発表したスズキ・アルトのほうが質実剛健さを追求した軽自動車本来の姿かと。新しいムーヴの場合、増税反対の根拠が弱い。
クルマ自体は意欲作である。31km/hで機能停止し、25km/hだと自動停止出来ない低性能の簡易式自動ブレーキが能力向上を果たしているか気になるところながら、それを除けば従来型より一段と使い勝手は向上し、実用燃費も5%程度向上しているとのこと。マジメなクルマ作りだと思う。
ということで、おすすめは119万8800円の『L"SA"』。簡易型自動ブレーキや、電動格納ミラー、横滑り防止装置、キーレスエントリーなど必要な装備が全て標準になる。これに安価なオーディオ一体型ナビでも付ければ全く不満の無い(一昔前ならフル装備です!)相棒になってくれるだろう。
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