マンションの資産価値を左右する条件

「六本木ヒルズレジデンス」(右)

「六本木ヒルズレジデンス」(右)

都心の分譲住宅において原価の大半を占めるのが土地である。したがって、将来その資産性を左右するのは立地条件によるところが大きい。長期的な人口増が期待できない、つまり重要の拡大が見込みずらい環境では、「実質的な利用価値が問われる」と言い換えてもよい。

住宅の利用価値は、多くの需要を取り込めるかどうか。住まいとしてはもとより、SOHOやセカンドハウスニーズなど汎用性の高い物件は好例だろう。昨今、「立地の利便性」が注目される理由は、潜在的な借り手がいるから。目的の多様化は購入の需要増が期待できるだけでなく、住まなくなったときの選択肢が増えることが魅力なのである。

では、資産価値は立地がすべてなのか。建物は関係ないのだろうか?答えは「否」である。90年代後半から年間8万戸もの大量供給を十数年経て、今後中古マンション市場はますます活性化するだろう。自己所有のマンションを売却しようとすると、そのライバルの多さに驚くのではないだろうか。駅近マンションも一昔前に比べれば多くなった。好立地の競合も多数いると想定しておくべき。だからこそ、建物の質にも注目したい。

チェックポイントは「外観と玄関(エントランス)」

「フォレストテラス松濤」の建物入口

「フォレストテラス松濤」の建物入口

中古マンション売買の橋渡しをする仲介会社の営業マン曰く、「売りやすいマンションは外観とエントランスが立派」。複数の物件を案内した際、外から見たときの第一印象(外観)、建物の中に足を踏み入れた際の第一印象(エントランス)が「決め手になりやすい」という。短期間で多数見るため、相対評価しやすく、記憶に残りやすい要素なのかもしれない。

ほとんどの設計者は、外観やエントランスに高級感や重厚感を重んじるものの、それと同様にあるいはそれ以上に「周囲の景観にマッチするか」、「10年20年経っても魅力的な建物でいられるどうか」を優先してデザインすることが多い。なぜなら、売ったり貸したりすることで結果が出る資産性よりも「長く住んで満足できるように」あるいは「地域に貢献できるような建築を」目指すからだ。また建物の印象は(一般の人にとっては絶対基準が不明瞭で)個人の感性評価になる点も留意すべきである。

デベロッパーの方針が影響!?

マンションデベロッパーは多岐にわたる価値観を包括できるような商品企画を考え、パートナー企業に要望するのだが、なかには資産価値を軸足に置くプレーヤーがいる。例えば住友不動産は、「外観とエントランスの高級感において差別化を図る」ことを事業戦略の柱のひとつに置いている。

アースカラーや白っぽいタイルまたは塗装を施すマンションが多い中で、住友不動産のマンションは黒などダーク系の色が目に付く。外壁も割り肌調の重厚感を醸し出すタイルを用いるなど、高級感を意識しているのがわかるだろう。エントランスは極力、天井の高さを優先。地価が高く、建物の高さ制限が厳しい都心では、広くて背の高い空間そのものが希少だ。天然石で囲われた大きなエントランスホールは入った瞬間「まるでホテルのよう!」と思うことだろう。

青田売りでは、肝心の外観・エントランスを実際に見ることができない。モデルルームでは往々にして再現された室内空間で時間を費やしがちになるが、パネルや模型はじつは丁寧に観察したいコーナーの一つである。とくにエントランスの寸法や材質は、必ず確認したいものだ。

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