沖さんがクララくらいの年頃はどんな子供でしたか?
沖>とりあえず何でもやってみたくて、兄が友達と遊びに行くときにいつもくっついて行っては、“私も一緒に遊んで!”って言ってるような子供でした。その頃からバレエは大好きでしたね。プロのダンサーになりたいと思ったのは中学生くらい。高校生になって留学を視野に入れたとき、留学するからには将来絶対バレエ関係の仕事に就こうと考えて。自分の中でしっかりと将来の目標を決めたのはその頃です。『くるみ割り人形』リハーサルでマラーホフの指導を受ける。(C)Shinji Hosono
高校時代にボリショイ・バレエ学校に留学されていますね。
沖>ボリショイ・バレエ学校には一年半留学しました。最初の授業は9時から始まり、まずロシア語の授業や劇場史などがあって、三時間目くらいからクラシック・バレエのレッスンがあります。その後は曜日によってキャラクターの授業があったり、演技の授業があったり、宮殿舞踊の授業があったり。授業の後にリハーサルが入ることもあるけど、それでも7時頃には終わるので、放課後は結構有意義に時間を過ごしてましたね。寮にホールがあって、みんなでストレッチをしたり、ロシア語の勉強をしたり、ロシア人の子と話したり。消灯は11時。寮母さんが部屋に来て、勉強してても何をしてても、強制的に電気をパチッと消されてしまいます(笑)。
ノイマイヤー版『ロミオとジュリエット』(C)Kiyonori Hasegawa
骨格の違いが一番大きかったけど、メソッドに忠実にレッスンしているためか、ロシア人の生徒は特に手の使い方がキレイだなって感じました。あと驚いたのは、先生に対して意見をはっきり言うこと。だからロシアの子たちは、先生とのパートナーシップが強いんです。そういうところは日本人とは全然違うな、すごいなって思いましたね。
クラシックはもちろんですけど、キャラクターのレッスンがあったり、宮殿舞踊が習えたことはとても大きかったです。これは何世紀の踊りですと教わって、トゥシューズを履かずに長い衣裳を引きずりながら踊ったり。今年の夏のバレエ団公演で『ドン・キホーテ』のセギディーリャを踊ったんですけど、ちょうどボリショイのテスト課題で練習していたパートだったので、すごく役に立ちました。
『ドン・キホーテ』(C)Kiyonori Hasegawa