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田村一行『おじょう藤九郎さま』インタビュー!

大駱駝艦の拠点・壺中天(こちゅうてん)で、この冬上演を迎える田村一行振付『おじょう藤九郎さま』。青森県八戸地方の民俗芸能「えんぶり」を題材に10月に八戸市南郷文化ホールで上演し、好評を博した話題作が待望の東京初演を果たします。ここでは、開幕に先駆け田村さんにインタビュー! 作品の成り立ちとその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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八戸の伝統芸能「えんぶり」とのコラボレーションにより誕生した『おじょう藤九郎さま』。作品の成り立ちと、創作の経緯をお聞かせください。

田村>八戸市では2013年からワークショップを行なったり、『血』(2008年初演)の上演を行なったりというご縁がありました。今回は八戸市が進める「南郷アートプロジェクト」の一環として、「えんぶり」を題材にした作品創りを提案していただきました。“「えんぶり」という伝 統芸能があるんだけど、一行さん絶対好きだよ”と声をかけてくださったんです。

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ワークショップの様子

八戸では毎年2月に「えんぶり」が行われていて、僕も今年現地に行ってきました。事前に映像は見せてもらっていましたが、生で体験すると、想像をはるかに越えた衝撃がありました。

朝7時頃、各地の「えんぶり」組が小山の上にある神社に奉納に行くところから始まります。今年の「えんぶり」は、八戸に記録的な大雪が降った直後で、辺り一面雪景色。そんななか、どこからともなくお囃子の音が聞こえてきて、それをたどって山を登ると、真っ白な世界に色とりどりのモノが飛び込んできた。いくつもの旗が揺らめいていて、烏帽子を 被ったひとたち、どてらとわらじ(つまご)姿の子供たち……。彼らがダーッと神社に向かって並んで、太鼓を叩いたり、笛を吹いてる。“これは現代か!?”と、時空が歪むような感覚になって、ものすごくわくわくしました。

「えんぶり」とは豊作を願う踊りであり、生きていくための祈りの儀式だと思います。それは結果的に、親から子へ、またその子供へと、子孫のために祈ることにもなる。土地の豊かさを願うということは、自分たちだけの問題でなく、未来に向けた祈りでもあるのだということを、その光景の中でひしひしと感じました。何世代にも渡って親子で参加している家も多く、古くから人々の生活に根ざしてきた。それを見ていたら、グッとくるものがあって……。ここから何か作品が生まれるな、という確かな手応えがありました。


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『おじょう藤九郎さま』八戸公演 (c)Hiroki Umenai



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