地域限定保育士で保育士不足が解消できるのか
この資格は、国家試験を年2回にする案が見送られたため、国家試験と同難度の試験を自治体で年1回実施することにより、受験者側からすると実質年2回受験できるため、合格者が増えて保育士不足の解消になるという考えのようです。しかし「保育士不足の原因は低賃金・過重労働である、その証拠に資格を持ちながら保育士職に就かない潜在保育士が68万人もいる」という問題に対し、あいかわらず改善案は出されないまま、「やはり試験を増やして合格者を増やす。そうすれば保育士が増える。」の一点張りでは、問題の解決にはならないと思うのです。
それに、受験者にとっては国と自治体という異なる主催者の試験となるため、同じ試験勉強で対応できるのかどうかといった点も、気がかりなところだと思います。試験問題の作成や試験事務等が、国家試験と全く異なる学校が担当することになった場合、問題の傾向も変わるような気がしています。もし同じ学校が担当するとなれば負担が増え、それはそれで学校側からの反発も免れないでしょう。
保育士不足を解消するためには
このように、保育士不足の解消のために提案されるさまざまな資格創設案は、どれもこれも「数字が足りないから数字を増やす」というだけの急場しのぎの印象を受けます。やはり先ほども挙げた「保育士不足の原因は低賃金・過重労働である」という問題にばっさりとメスを入れ、根っこから治療するような、革命的な制度改革がなされないかぎり、問題の抜本的な解決はむずかしいと思います。
さまざまな噂の飛び交う保育士関連資格について、3回に渡って情報を整理しました。スッキリと理解し、ご自身の考えを持つことができたでしょうか?これからも私たち皆で考え、関心を持ち続けていきましょう。
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