一般人300人が、コミュニティを軸にマンションの未来を考える
「Mirai Mansion Meeting」が東京日本橋で開催
11月26日、日本橋三井ホールで、三井不動産グループのマンション居住者および一般参加者を300名募集し、マンションをコミュニティという視点で捉え、新たなマンションのあり方を提案するシンポジウムが開催されました。主催は、三井不動産レジデンシャル、三井不動産レジデンシャルサービス、サスティナブル・コミュニティ研究会です。プログラムは、3部構成。1部は、『未来の都市をマンションから考える』というテーマ。三井不動産レジデンシャルの藤林社長と三井不動産レジデンシャルサービス岩田社長、藤村龍至建築設計事務所代表の藤村氏の3名が登壇。2部は、『マンションの新しい捉え方』というテーマで、蛯原英里氏、チームラボ代表の猪子寿之氏、issue+design代表の筧祐介氏の3氏のセッション。3部は、『ミライ・マンション・ミーティング』で、来場者全員参加型のワークショップが行われました。
コミュニティの成功事例 37年を経た森のあるマンション「サンシティ」
植樹とカルチャーハウスがコミュニティ形成の一歩
第1部で興味深かったのは、コミュニティの育て方での東京都板橋区のマンション「サンシティ」の事例。「サンシティ」は、三井不動産グループなどが関わり1977年から順次竣工し1980年に街が完成した敷地面積約12万5千平米、総戸数1872戸の大規模マンションです。最大人口は、約6000人で、都内トップクラスの規模。丘陵地を活かした森を囲むように配置した多棟構成のランドスケープで、近い年代でも平行に配置した高島平団地と比べ街の雰囲気が随分異なります。この「サンシティ」は、地域住民を含めた多くの人が参加するサンシティ祭りや24のサークルがあるなどコミュニティが活発なマンションとして知られます。事例では、敷地内にあるカルチャーハウスで木工や工芸、陶芸などが行われる様子や約90人もいるボランティアが敷地内の緑を管理する様子が紹介されました。コミュニティ活動も活発で、住民内の交流も盛んな様子でした。
三井不動産レジデンシャルの藤林社長によれば、「住民が約5万本の植樹を自ら行ったことが、コミュニティの形成につながった」とのこと。緑地率36%の豊富な自然。自ら植樹したことによって、森を守る意識が醸成。共有財産としての森の価値を住民の多くが感じているとのことでした。
現在では、森の木材を使ってシイタケ栽培もおこなわれています。公園の遊具などもボランティアの手で随時修復している様子も画像で紹介されました。また、出会いのきっかけになるカルチャーハウスの存在も大きかったようです。
近年、マンションのコミュニティ意識が高まったのは理由があります。サンシティが建てられた頃は、マンションを終の棲家として考える人は約2割だったとのこと。直近では、約53%の人がマンションを終の棲家として考えており、永住志向の強まりがコミュニティの関心を高めているようです。
また、東日本大震災をきっかけに人と支え合う意識も強まりました。先日の長野県北部地震でも地域住民のコミュニティの力が災害時に如何に有効かを認識させられました。
つくり手の課題として、「主体性づくりをどうするか」と「コミュニティの見える化」を藤林社長は挙げていました。コミュニティが見えない価値としてマンションの資産価値にも少なからず影響しているのも事実です。未来のマンションは、コミュニティのあり方が今とは変わっているのかも知れません。
次のページでは、2部、3部の様子を紹介します。