節税対策

まだ間に合う!平成26年12月中なら使えるお得な税制

平成26年もあと1か月となり、年末調整、確定申告が近付くと、税金が気になるところです。そこで、今回は個人向けの税制として、平成26年12月末で期限切れとなる特例を2つ、今年中に使える非課税限度額のあるものを2つご紹介します。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

長期所有土地からの買換特例

特定事業用資産の買換特例とは、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産を取得し、その取得の日から1年以内に事業の用に供したときは、一定の要件のもと、譲渡益の約80%に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です(譲渡益が非課税となるわけではありません)。
この買換特例の種類には10項目ありますが、9項目についての適用期限は平成29年12月31日(法人は平成29年3月31日)となっていますが、「長期保有資産の買換特例(9号買換)」のみ適用期限が平成26年12月31日となっています。

「長期保有資産の買換特例(9号買換))は、譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物(その附属設備を含む)又は構築物を譲渡して、国内にある事業用の土地等、建物、構築物又は機械装置に買い換えたときに適用できます。ただし、買換資産の土地等については、事務所、工場等一定の敷地の用に供されるものでその面積が300平方メートル以上のものに限られます。

9号買換については、細かい要件が少なく使い勝手のよい特例ですが、適用期限が平成26年12月末となっております(平成27年税制改正で延長されるかもしれませんが、詳細は現時点で未定、以下同じ)。

住宅取得等資金贈与の非課税限度額1,000万円(または500万円)

平成26年中に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等のため金銭の贈与を受けた場合で一定の要件を満たせば、贈与を受けた人(受贈者)ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。こちらも適用期限は平成26年12月31日までとなっています。

受贈者は次のすべての要件を満たす必要があります。
1. 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上で、その年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
2. 受贈者は贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること(子や孫の配偶者ダメ)
3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅取得等のために贈与を受けた金銭の全部を、一定の住宅(その敷地を含む)の新築等の費用に充てること
4. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅に居住しているか、または居住することが確実に見込まれること

この特例は、相続時精算課税を選択している贈与者についても適用することができます。なお、必ず確定申告が要件となっていますので、忘れずに行いましょう。

また、平成27年から相続税の基礎控除が4割減少します。
現行:基礎控除=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
来年以降:基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続税の対象となる財産には、亡くなられる人(被相続人)から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものも含まれます(3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係ありません)。つまり、贈与税の基礎控除額110万円以下の贈与財産(後述)や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。
しかし、先述の直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額については加算されません。

贈与税の非課税限度額110万円

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計し、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します(暦年贈与といいます)。

つまり、年間基礎控除額110万円までの贈与であれば、贈与税もかかりませんし、贈与税の申告も不要となっています。

年間110万円かどうかの判定は、受贈者ごとに行います。子供が父から110万円、祖父から110万円の贈与を受けた場合には、年間220万円の贈与を受けていることになり、贈与税がかかりますので、注意してください。

また、暦年贈与の非課税限度額110万円については、子や孫の配偶者にも使えるため、相続対策に有効です。

NISA非課税限度額100万円

NISA(少額投資非課税制度)は平成 26 年1月から開始されている制度で、金融機関に非課税口座を開設すると、その非課税口座内において受け入れた上場株式や株式投資信託などに係る配当等や譲渡益が非課税となる制度です。非課税口座内に受け入れることができる株式等は年間 100 万円まで、非課税期間は非課税口座内に設けられた非課税管理勘定ごとに最長5年間です(平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間、毎年非課税管理勘定を設定することができます)。

平成26年から5年間にわたり、譲渡益が非課税となる投資額は年間100万円が上限となりますが、売却益については上限がありません。極端な話、100万円投資し、1,000万円で売却すると利益は900万円となりますが、NISAを活用すると税金はかからないという仕組みです。ただし、譲渡損が発生した場合は、特別口座等との損益通算はできませんので、ご注意願います。

平成27年から相続税の基礎控除が4割下がります。年末年始の家族が揃うときに、相続・贈与の話をされてはいかがでしょうか?

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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