宿題代行サービスは、中学受験を控える親に人気
うちの子、全然宿題をやらない。そんなとき、代わりに宿題をやってくれる代行サービスがあったとしたら?
ドリルから、絵日記、工作、作文・読書感想文まで、お金を払えば学校の宿題を代わりにやってくれる「宿題代行」サービス。「助かる」という絶賛の声から、「詐欺だ」という批判の声までありますが、いったい何が問題なのでしょうか。
改めて宿題代行サービスの問題を整理してみましょう。まずは、よく知らないという人のために「宿題代行サービス」とは何なのかをまとめてみました。
【目次】
- 宿題代行サービスとは
- 宿題代行者は、学生からプロまで多様
- 子どもの性格から癖・筆跡まで考慮
- 親にとっては願ったりかなったり?
- 学校の宿題はそもそも効果がない?!
- 「宿題代行=悪」と決めつけられない事情も
- 長い目で見れば宿題代行サービスは損
宿題代行サービスは、あらゆる宿題を代わりにやってくれる
宿題代行サービスは、算数や漢字ドリルはもちろん、ポスター・イラスト、自由研究・レポート、読書感想文、習字、工作、音楽まで、あらゆる宿題を子どもの代わりにやってくれます。学校はもちろん、塾やお稽古ごとで出される宿題までも引き受けているのだから驚きです。
気になる宿題代行の値段は、
- 1冊5,000円
- 1枚3,000円
- 急ぎの場合+5,000円
宿題を引き受けてくれる人は、学生からプロまで多様
どんな人が宿題を引き受けてくれるのかというと、アルバイト学生がお小遣い稼ぎに片手間にやっているところも中にはあるそうですが、難関大学・有名大学の学生から、美大・音大の専門性の高い大学の学生まで、さらに一般企業に勤める社会人から、家庭教師や塾講師、中には現役教師まで、まさにプロ集団が請け負っている本格的なところまで様々なようです。ドリル1冊5,000円、作文・読書感想文1枚につき3,000円、急ぎの場合は特急料金で+5,000円というのが、一般的な料金設定。これが高いのか安いのかは、何とも私には判断しかねますが、利用者にとっては概ね好評のようです。
宿題代行では、子どもの性格から癖・筆跡までも考慮してくれる
宿題代行に当たって、業者の側が気にかけているのが、子どもの特徴に合わせること。算数が苦手な子が、突然計算ドリルで満点ばかりになったら、誰だって怪しく思いますよね。そういう場合は、子どもの学力に合わせて「適度に」間違えてくれるのだとか。大ざっぱでせっかちな性格の子のために、字を雑に書いたり、所々間違えたりと、まさにかゆいところにまで手が届くサービスと言えます。
宿題代行サービス、親にとっては願ったりかなったり?
宿題代行サービス、親にとっては賛否両論?!
宿題代行サービスを利用している人の中には、中学受験や高校受験など、受験生を持つ親が意外と多いのもうなずけます。
確かに、受験対策のために日常的に塾に通ったり、夏休みや冬休みは特別講習に参加したりと、何かと「多忙な」日々を送っている今の子どもたち。受験勉強のために学校の宿題どころではないという子も少なくないかもしれません。
しかし、宿題というのは、子どもの力を伸ばすためにするもの。受験勉強や部活で忙しいからという理由で、代行を頼むのもいかがなものと思います。
学校の宿題はそもそも効果がない?!
とはいえ、宿題代行サービスは問題と一概に否定できない事情があるのも確かなようです。
実は、学校の宿題はそれほど効果がないという研究結果もあります。もちろん、それは宿題の内容や時間にもよるのですが、何でもかんでも学校の宿題だから大切だと言い切れないのがこの問題の根深いところです。
さらに、中学、高校と学年が上がるに連れて、学校の宿題が重要になってくるということも研究で明らかになっています。
つまり、学校の宿題はやり方次第で効果があったりなかったりするのです。
ですから、大切なことは、宿題だからといってやらされるからやるのではなく、必要だからやるという姿勢です。
「宿題代行=悪」と決めつけられない事情も
そんなわけで、「宿題代行=悪」とは必ずしも言い切れません。学校から出される宿題が、あまりにも度を超している場合やおかしな宿題である場合は、話は別です。100ページ以上ある問題集を2週間で解いて提出という無茶なことを言う学校も中には存在します。
また、夏休みの定番の宿題といえば、読書感想文、ポスター、工作や自由研究などですね。しかし、読書感想文は「あらすじを写して終わり」といったように、適当に済ませてなんとかやり過ごそうという人は、昔から存在しました。そういう私もそうでしたし、この記事を読んでいる方の中にも、心当たりがある人は決して少なくないでしょう。このように学校が出す宿題の中には、効果が疑問視されるものがあるのも確かです。それは漢字ドリルをただ写すだけといった無駄な書き取りから、自主学習ノートと称した強制的な学習まで様々です。
こと、読書感想文に至っては、まず本の選び方から、そして、(付せんを使うなど)本の読み方も教えてもらったこともありません。ましてや感想文をどう書いたら良いかという「感想文の書き方」を教えてもらったこともありません。
ポスターや工作、自由研究についても同様で、やり方や工夫の仕方を教えてもらったこともありません。ただやってきなさいと一方的に家庭に丸投げなのも、学校の宿題の問題点でもあります。
「どうやったらいいのかわからない」
「そんな宿題やっている場合じゃない」
というのが、親も子も本音かもしれません。代行業者に丸投げしたい気持ちもわからないでもありません。
長い目で見れば宿題代行サービスは損
さて、一般論としては一概に良い悪いと決めつけられない、この宿題代行サービス。長い目で見ると子どものためにならないことだけは明らかです。お金で何でも解決できてしまうという誤った価値観を、子どもに植え付けてしまうことにもなりかねません。それに、子どもが中学、高校、大学、そして社会に出たとき、自分で解決する力を身につけていないと困るのは子ども本人です。宿題のようなやらなければいけないことを、計画的にこなしていく力は、何かとせわしいこの世の中では必要とされる力の一つです。
また、宿題代行サービスを利用しないとこなせないような受験勉強には、そもそも無理があると考えることもできます。無理をして、背伸び受験をしても、結局は、入った学校のレベルについていけず挫折する可能性もあります。そんな場合は思い切って志望校のレベルを下げる決断も必要です。
あるいは、あれもこれも子どもに身につけさせたいと、塾通いや習い事が多すぎるのかもしれません。
いずれにせよ宿題代行サービスが繁盛する背景には、そんな親と子のゆとりのなさがあるのかもしれません。もし、こういったサービスを利用しようと思ったときは、一度、立ち止まって、長い目で見て、考えてみるようにしましょう。
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