一戸建て住宅

環境への配慮は住宅にも大切な要素

2011年の東日本大震災を契機とした国内のエネルギー問題や、かねてからの地球温暖化問題に対する意識の高まりを背景に、「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)が2012年9月5日に公布され、同年12月4日に施行されました。

この法律で新たに設けられた「認定低炭素住宅」制度ですが、1年半あまりを経過した現在、その普及はどれくらい進んでいるのか、新築住宅での認定状況をみていくことにしましょう。


低炭素住宅の認定対象となるのは?

「都市の低炭素化」がテーマとなっているため、その対象は都市計画法により「市街化区域」に指定された区域(および非線引き区域・準都市計画区域内で用途地域が定められた区域)にかぎられます。

低炭素住宅として認定を受けるための要件は、まず必須項目として、省エネルギー法による省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量(家電製品などのエネルギー消費量を除く)をマイナス10%以上にしなければなりません。

具体的には、一戸建て住宅の場合であれば天井断熱が180ミリ以上、外壁断熱と床断熱がそれぞれ100ミリ以上、連続する防湿気密層、窓は複層ガラス(可能なら断熱サッシ)、南窓の軒・ひさし、東西窓の日除けなどの建物構造や、常時換気システム、冷暖房エアコンなどの設備に加えて、太陽光発電パネルや高効率給湯器の設置などが求められます。

また、選択的項目としてHEMSの導入、木材の利用、節水対策、ヒートアイランド対策があり、これらのうち一定以上のものを講じていることが必要です。

認定基準などについて詳しくは、国土交通省の「低炭素建築物認定制度 関連情報」を参照してください。


認定低炭素住宅に対する優遇税制など

低炭素住宅として認定を受けた場合には、蓄電池や蓄熱槽など低炭素化に資する設備について、通常の建築物の床面積を超える部分を容積率に算入しない措置が講じられています。

また、認定低炭素住宅を建築・購入した個人に対しては、住宅ローン控除制度における最大控除額の拡充、投資型減税、登録免許税の税率引き下げといった優遇措置があります。

住宅ローン控除では、2017年12月31日までに認定低炭素住宅へ入居した人を対象として、通常は400万円の最大控除額(新築の場合における10年間合計額)が500万円に拡充されます。住宅の床面積が50平方メートル以上であること、取得から6か月以内に居住を開始することなど、他の要件は通常の住宅と同様です。

2014年4月1日から2017年3月31日までの間に、住宅ローンを借りずに認定低炭素住宅を取得した場合には投資型減税の対象となり、所得税の控除額が最大で65万円となっています。

登録免許税は、2016年3月31日までに認定低炭素住宅を取得した人を対象として、所有権保存登記は一般住宅の0.15%から0.1%へ、所有権移転登記は一般住宅の0.3%から0.1%へそれぞれ軽減されます。こちらも住宅の床面積が50平方メートル以上であることなどが要件です。

さらに、住宅金融支援機構による【フラット35】Sでは、金利の優遇措置が受けられる住宅の省エネルギー基準に認定低炭素住宅が追加されており、当初10年間の金利が0.3%引き下げられます。ちなみに現時点(2014年10月末)では未定ですが、この金利優遇幅を2015年から0.6%へ拡大することも検討されているようです。


一戸建て住宅での普及は遅れぎみ?

新築住宅では2020年をめどに「新しい省エネ基準」への適合義務づけが検討されています。その先取り的な意味合いもある「認定低炭素住宅」ですが、一戸建て住宅での普及は思うように進んでいない面も否定できません。

実質的に制度がスタートした2013年1月は一戸建て住宅の認定が16戸にとどまり、その後は徐々に増加傾向にあるものの、100戸台または200戸台で推移しています。2014年は住宅着工戸数全体の落ち込みもありますが、かなり少ない水準だといえるでしょう。

2014年9月末までの21か月間における低炭素住宅の累計認定戸数(一戸建て住宅)は3,464戸となっています。それに対して2009年6月にスタートした認定長期優良住宅制度では、初月の認定が2,179戸で、スタートから21か月間の累計認定戸数(一戸建て住宅)は149,244戸ですから、40倍以上の開きがあります。

一般消費者にとって「長期優良住宅」が「長持ちする住宅」としてイメージしやすいのに対して、「低炭素住宅」は分かりづらい面があるかもしれません。

低炭素住宅の認定戸数推移

低炭素住宅の認定戸数は低水準で推移している



分譲マンションでの採用は積極的

低炭素住宅の普及が遅れぎみの一戸建て住宅に対して、マンションでは比較的早いスピードで認定が進んでいるようです。

2014年9月末までの「共同住宅等」の累計認定戸数は2,771戸ですが、これは長屋建てなど「一戸建て住宅以外」をまとめたものであり、すべてがマンションというわけではありません。

そこで国土交通省が公表している資料の中から、低炭素マンションの可能性があるものを抜き出してみると、30~35棟、2,600戸前後と推定されます。これには賃貸マンションが含まれているかもしれませんが、長期優良住宅のスタート当初をかなり上回る数にのぼります。

制度開始後、低炭素マンションとして最初に認定された「シーズンスイート志木の杜」(埼玉県志木市、総戸数152戸、綜合地所・長谷工コーポレーション)は2014年9月から販売が始まりました。また、次の認定となった「サンメゾン植田エルド」(名古屋市天白区、総戸数25戸、サンヨーホームズ)は小規模なこともあり、すでに2014年1月に竣工しています。

東京都内でも「ブランズシティ品川勝島」(品川区、総戸数356戸、東急不動産)の分譲が開始されているほか、大阪市内では長期優良住宅と低炭素住宅をダブルで取得する予定の「OSAKA高層邸宅プロジェクト(仮)」(北区、総戸数143戸、関電不動産・野村不動産)が11月から販売されるようです。

これからは「認定低炭素建築物」などと広告に書かれたマンションを目にする機会も増えていくことでしょう。

シーズンスイート志木の杜

最初の低炭素マンション認定となった「シーズンスイート志木の杜」



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