さまざまな問題を抱えた日本の住宅事情を背景として、2009年6月にスタートした「認定長期優良住宅」制度ですが、分譲マンションでの導入は思うように進まず、まだごく限られた棟数しか供給されていません。

しかし、それとは対照的に一戸建て住宅では順調に増え続けており、2014年6月末までの累計で認定戸数が50万戸を超えました。

今回は、この「長期優良住宅」について一戸建て住宅における現在の普及状況などを中心に確認しておくことにしましょう。


長期優良住宅とは?

これまでの日本における木造住宅の寿命は20年から30年程度とされ、欧米諸国と比べてかなり短いだけでなく、建て替えによる廃棄物、資源の浪費、建築時のエネルギー消費など、さまざまな問題を抱えていました。

さらに、長期の住宅ローンを払い終わればすぐに建て替え問題に直面するなど、消費者個人にも大きな経済的負担がのしかかる状況となっています。

そのため、子や孫の代まで住み続けられるような質の高い住宅をつくり、それをできるだけ長く使うとともに、中古市場での流通性を高めようという観点から整備されたのが「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(2009年6月4日施行)であり、その基準によって認定された住宅が「長期優良住宅」です。

長期優良住宅の主なポイント(木造一戸建て住宅の場合)

□ 劣化対策(少なくとも100年程度はもつことを想定)
□ 耐震性(建築基準法レベルの1.25倍以上または免震構造)
□ 維持管理・更新の容易性(内装や設備の清掃・点検・補修・更新など)
□ 省エネルギー性(断熱性能など)
□ 居住環境(地域内における良好な景観形成や、まちなみとの調和など)
□ 住戸面積(原則として75平方メートル以上)
□ 維持保全計画(将来を見据えた定期的な点検・補修などの計画)


長期優良住宅は毎月1万戸前後の供給

国土交通省のまとめによる毎月の長期優良住宅認定戸数のうち、一戸建て住宅の推移を表したのが下のグラフです。

長期優良住宅認定戸数の推移

一戸建て住宅における長期優良住宅の認定戸数がこれまでで最も多かったのは、2011年7月における12,666戸で、翌月以降はいったん落ち込みをみせています。

その後はしばらく増加傾向が続き、消費増税に伴う住宅市場の低迷で2014年1月から再び減少していますが、住宅着工全体での減少があるため、単純に「長期優良住宅が減っている」とはいえないでしょう。

新築一戸建て住宅(分譲住宅、持家、貸家、給与住宅を含む)全体に対する認定長期優良住宅の戸数割合は、2010年以降おおむね23~24%前後で推移しており、およそ4分の1近くを占めています。

また、都道府県別による一戸建て住宅の累計認定戸数(2014年3月末時点)が最も多いのは愛知県の53,848戸で、次いで神奈川県の29,827戸、埼玉県の29,516戸、東京都の28,252戸といった順になっています。逆に3,000戸未満のところも11県あるなど、地域によってかなりの温度差もありそうです。

一方、社団法人住宅生産団体連合会(住団連)がまとめた「2013年度戸建注文住宅の顧客実態調査」では、認定長期優良住宅の割合が全体の70.7%(前年度は63.7%)を占めています。

この調査は3大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)および地方都市圏(札幌市、仙台市、静岡市、広島市、福岡市)を対象としたものであり、大都市圏ほど長期優良住宅制度が浸透しているともいえるでしょう。

ちなみに、同調査における住宅性能表示制度の採用率は51.9%(2013年度)であり、新しい制度である長期優良住宅のほうが性能評価を上回る結果となっています。

建売住宅でも長期優良住宅として認定を受けたものが数多く供給されており、長期優良住宅は選択肢のひとつとして十分に検討できる段階になりつつあると考えられます。


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