節税対策

免税店制度改正!観光客を取込み売上増を目指そう

平成26年10月1日から免税店制度が改正され、これまで免税対象外だった食品、飲料、薬品、化粧品などの一定の消耗品も免税対象となりました。日本を訪れる訪日外国人の数は10年前の約2倍に増加しています。中小企業や個人事業主にとっては大きなチャンスとなります。御社も免税店制度、活用してみませんか?

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

免税店制度の改正は、中小企業にとって絶好のチャンス

日本を訪れる外国人の数は、10年前の2倍に増加しており、昨年は初めて1,000万人の大台を突破しました。政府は2020年の訪日外国人数2,000万人達成を目指して、訪日プロモーションを展開しています。

その一環として、平成26年10月1日から免税店制度が変わりました。

免税店制度とは、免税店を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して一定の方法で販売する場合に、消費税が免除される制度ですが、平成26年10月からは、これまで免税対象外であった消耗品(食品、飲料、薬品、化粧品等)も免税対象に加わり、お菓子や地酒など、地域ならではの名産品も免税販売できるようになりました。

免税店は、観光庁公認の免税店シンボルマークを申請し、使用することができます。シンボルマークを使用する免税店のリストは日本政府観光局(JNTO)のホームページから国内外に発信されていて、シンボルマークを活用する店舗の情報を外国人旅行者が検索できるようになっています。

今回の改正は、中小企業や個人事業主のみなさんにとって、大きなチャンスとなります。この記事を参考に、ぜひ大まかな内容だけでも確認しておいて下さい。

免税店制度の概要

免税販売の対象者は、外国人をはじめとする非居住者です。厳密に言うと、日本人であっても、例えば海外現地法人に勤務する外国居住者などは対象になります。

免税対象となる物品は、通常生活の用に供される物品である必要があります。非居住者が事業用又は販売用として購入することが明らかな場合は、対象外になります。

免税対象の物品は、大きく一般物品と消耗品に分かれます。一般物品というのは、家電製品、カバン・靴、洋服・着物、時計・宝飾品、民芸品などで、1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が1万円を超えるものをいいます。

今回の改正で新たに免税対象となったのが消耗品です。果物、食品、化粧品、飲料、医薬品などが対象で、1人の非居住者に対して同じ店舗における1日の販売合計額が5,000円を超え、50万円までの範囲内である必要があります。購入した非居住者は、その消耗品を購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約し、国内で消費されないように指定された方法による包装がされていることが要件となります。

免税店の許可・審査手続

免税販売は勝手に始められるものではありません。経営する事業者が、その納税地を所轄する税務署に許可を受けようとする店舗ごとに申請することが必要です。

申請に当たっては、以下のような書類が必要になります(他にも添付書類が必要な場合があります)。
・輸出物品販売場許可申請書
・許可を受けようとする販売場の見取り図
・社内の免税販売マニュアル
・申請者の事業内容が分かるもの(会社案内、ホームページなど)
・許可を受けようとする販売場の取扱商品(主なもの)が分かるもの(一覧表など)

免税店の許可要件は5つあり、この5項目について審査が行われます。
1. 販売場の所在地は、「非居住者の利用度が高いと認められる場所」であること
2. 販売場が「非居住者に対する販売に必要な人員の配置」及び「物的施設(例えば非居住者向特設売場等)を有する」ものであること
3. 申請者が許可申請の日から起算して過去3年以内に開始した課税期間の国税について、その納税義務が「適正に履行されている」と認められること
4. 申請者の「資力及び信用が十分」と認められること
5. 前各号(1から4)のほか許可することにつき特に不適当であると認められる事情がないこと

1の「非居住者の利用度が高いと認められる場所」というのは、今後非居住者の利用が見込まれる場所も含まれています。一般的には、空港や港、観光地は非居住者の利用度が高いと認められる場所と考えられますが、これらの場所に限定されているわけではありません。

また、気になるのは「非居住者に対する販売に必要な人員の配置」だと思いますが、これについては、「免税販売の際に必要となる手続を非居住者に対して説明できる人員の配置」とされており、外国語については、母国語のように流暢に話すことが求められるわけではありません。パンフレット等の補助材料を活用しながら、非居住者に手続を理解してもらえるレベルであれば十分です。

免税手続の流れ

実際の免税手続については、以下のような流れになります。
1. 旅券等の確認
非居住者から旅券等の提示を受けます。
2. 「購入記録票」「購入者誓約書」の作成
・免税店が「購入記録票」を作成
・非居住者が「購入者誓約書」にサインをして免税店に提出
・免税店が「購入記録票」を非居住者のパスポート等へ貼付し割印
・商品を非居住者に引渡し
・免税店は非居住者から提出を受けた「購入者誓約書」を保存(約7年)
3. 輸出
・非居住者は出国の際に税関にパスポート等に貼付された購入記録票を提出
・購入した免税物品を携帯して国外へ持ち出し

なお、今回の改正で、「購入記録票」と「購入者誓約書」については、様式の弾力化と記載事項の簡素化が行われており、手続が緩和されています。

ぜひ、この免税店制度を売上アップの手段の1つとして、検討してみてはいかがでしょうか?
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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