トラやサイが生きるジャングル地帯「チトワン国立公園」

チトワン国立公園のジャングルとインドゾウ

チトワン国立公園のジャングルとインドゾウ。園内には熱帯雨林や湿地、草原、湖沼、河川とさまざまな生態系が含まれており、多彩が動植物が生息している

ネパールとインド国境付近に広がるジャングルには、トラやサイ、ヒョウ、クマ、ジャッカル、サル、ワニ、イルカ、クジャク等々、数多くの野生動物が暮らしている。

かつて王室狩猟場として保護されていたこのジャングルでは現在ハンティングは禁止されているが、原生林を歩く「ジャングル・トレッキング」やゾウに乗って駆け回る「エレファント・ライド」、カヌーで川を下る「リバー・クルーズ」などを通して動物たちと触れ合うことができる。今回はこうしたジャングル・サファリが楽しめる動物の楽園、世界遺産「チトワン国立公園」を紹介する。

チトワン国立公園のアトラクション 1. ジャングル・トレッキング

インドサイ

IUCNの絶滅危惧種に指定されているインドサイ。現在チトワン国立公園には400頭ほどが暮らしており、アジア随一の生息地となっている

「サファリ」はスワヒリ語で「旅行」の意味。4WDに乗って動物たちを追いかける姿をイメージするが、それはサバンナが比較的乾燥しており、高い木が茂らない草原だから。ジャングルでは車を使ったサファリは不可能だ。

チトワン国立公園のアトラクションのひとつがジャングル・トレッキング。そう、ジャングルを「歩く」のだ。私もこのツアーに参加したのだが、事前の注意説明が恐ろしかった。

ベンガルトラ

わずか100頭ほどしか確認されていないベンガルトラ。数は増えてきたと言われるが、見かけたらかなりラッキーだ

最初にガイドがTシャツをまくり上げると、お腹に一文字の縫い跡。聞けばサイにやられたのだという。彼によると、ここでもっとも危険な動物がサイ。「動くものを見つけるととにかく突っ込んでくるので、絶対に近づくな。音も立てるな」とのこと。さらに、「トラが現れたら立ち止まって目を見ろ。目を見たまま少しずつ後ろに下がるんだ」と力説。まさかトラから逃げる方法を教わるなんて思いもしなかった。

ジャングルは、川辺は植物が生い茂っていて歩くのもたいへんなのだが、一旦森林に入ってしまうと草も少なく歩きやすい。トラやサイが出ないかと緊張しながら歩を進めていたのだが、サルやクジャクや美しい蝶々・花々を見ているうちに緊張感も忘れ去り、動植物の豊かさ・美しさに感動しながらを歩を進めていた。

 

そんなとき、「ガルルルルルルル」という鳴き声が。ガイドは黙ったまま立ち止まり、静止の合図。声の方向を聞き定めると、そちらを見たまま全員に「下がれ」と指示を出す。後で聞いたところでは、トラの警告音だったそうだ。

このトレッキング、実際にはそれほど危険はないそうで、旅行者が襲われた事例もほとんどないとのこと。いま思えばあの恐怖体験も、ガイドの演出のひとつなのかもしれない。ジャングルを堪能するすばらしい体験だった。