全役が11月のオープン・オーディションで決定
James Monroe Iglehart, Adam Jacobs and the original Broadway company of ALADDIN. Photo by Deen van Meer (C) Disney
吉田さん 「映画との違いは、曲が増え、キャラクターがより深く掘り下げられ、映画では動物だったキャラクターを人間が演じていて大人のお客様たちがより楽しめるようになっている点です。ブロードウェイでの客層は孫を連れたご老人、カップルなどとても幅広いものでした。日本でも現地同様、幅広い方々に御覧いただきたいと思っています。テーマパークのショーとは特別な関係はないと認識しています」
――さきほど、「日本人の心情に沿ったプラン」とおっしゃっていましたが、どのようなことでしょうか?
加藤さん 「具体的には申し上げられませんが、私もニューヨークで5回観て、多くのご家族連れの方々が、劇場を後にするときに口ずさんでいるのを目の当たりにしました。海外で作られる作品はテンポが速く、リズム的に次々とシーンを運ぶという特色があります。それを維持しながらも、日本人が心情的にさらに共有できるような芝居作りを検討していきたいです。ニューヨーク版もそうですが、ただ楽しい明るいだけでなく、劇団四季ではもっともっと日本の方に受け入れられやすいものを作りたいと思っています」
――劇団四季にとっての「A Whole New World」とおっしゃっていましたが、どのような意味でしょうか。またブロードウェイではジーニー役が非常に個性的でしたが、日本ではどのようなキャスティングをお考えでしょうか?
The Origina Broadway Company. Photo by Deen van Meer (C) Disney
――海外では同じカンパニーがディズニー作品をすべて上演しているわけではありませんが、日本は(ディズニーミュージカルを)独占契約という形なのですか?
ポールさん 「劇団四季さんとは20年やっていますが、とてもレベルが高く、ニューヨークのメンバーが世界をまわって観ている中でもレベルが高いという位置づけです。信用もありますし、今ではお互いのことが分っているんですよ。ディズニーもうるさく言うこともあるけれど(笑)、四季さんはこちらが何を言うか、だいたいわかっている。結果的に多くの日本の方々に喜んでいただける作品になっているし、大成功しています。これからもそういうふうにやっていきたいなと思っています」
――公開オーディションについて、どんなキャラクターが求められていますか?
加藤さん 「全役をオーディションで選びますが、(それにあたり)座内でもピックアップはします。ディズニーからこういうキャラが必要というのはありますが、詳細はこれからの詰めになってくると思われます」(制作サイドより、ジーニー役については今まさにディズニー・シアトリカルのトーマス・シューマーカー社長たちと話しているところだが、ブロードウェイでも白人起用の予定があるし、要は「異界の人物」を表現できればいい、その国ならではのジニーを選びたい。ジャスミン、アラジンは20代のフレッシュな俳優で、できれば非常に強いボイスを持った子が要求されると思うが、日本版の演出ともかかわってくるのでその辺はディズニー側と今後話し合っていく、という補足説明がありました)
――加藤さんはマジックのご出身ですが(注・加藤敬二さんはマジシャン一家のご出身)、本作にもマジックが登場しますね。
加藤さん 「はい、(マジックは)専門でございました(笑)。「フレンド・ライク・ミー」でマジックをふんだんに取り上げたシーンがございます。個人的にいくつかマジックのアイディアは持っており、ディズニーとそういう話になったときにはアイディアを出してみようと思っています。ただ、マジックを出したから感動するというものではなく、そこに必要性がなければならない、デリケートな部分かと思っています。いずれにしましても、このショー自体がマジックのような作品です」
――本作はかなり製作費がかかると思いますが、どの程度のロングランを想定していますか?また、最近ヒットした『アナと雪の女王』もミュージカル化するご予定ですか?
吉田さん 「正式なコストはまだ出ていませんが、高いレベルになりそうです。『ライオンキング』『美女と野獣』『ウィキッド』に並ぶ製作費となりそうですが、それに見合う内容です。ぜひ開幕を楽しみにしていただければと思います。また『アナ雪』も舞台化されればぜひ私たちでと思っています(笑)。訳詞の高橋さんは四季時代から力を発揮していらした方ですので、今回もきっと活躍してくださると思っています」
ポールさん 「(『アナ雪』が舞台化されれば)まあ優先的に四季さんにと(笑)。(ディズニー・シアトリカルの)社長からは舞台化について「早く考えなさい」と命令が来ていますので、今、スタッフが一生懸命頑張っているところです」
吉田さん 「ロングランについては、できるだけ長くと思っています。まずは一回目の券売動向を見て、できれば1年単位で販売できればと思っています」
――これまでディズニー・ミュージカルを4作手がけてこられましたが、改めて、ディズニーの舞台作品の魅力とは?
Adam Jacobs as the title character in ALADDIN. Photo by Deen van Meer (C) Disney
この後、アメリカから届いた特製の「魔法のランプ」を加藤さんが持つかたちで、記念撮影。「ランプをこすってみてください」とのリクエストに「(ジーニーが)出てくるんじゃないですか?」と笑いながら応じる加藤さん、この時ばかりはスタッフではなく、とびきりの笑顔がまぶしい役者の顔を見せてくれました。今後も少しずつ、日本版『アラジン』の進捗をお伝えしてゆきますね!
*公演情報*『アラジン』劇団四季ミュージカル 2015年5月開幕=電通四季劇場「海」