ハダンゲルフィヨルド自然の宝庫、アイフィヨルド村
自然の絶景が目玉のアイフィヨルド村。ハダンゲルヴィッダ高原からみわたすヴォーリングフォッセン滝と美しい自然の営み Photo: Asaki Abumi
牧歌的な美しさで知られるノルウェー西部のハダンゲルフィヨルド地帯。無数のフィヨルドと数々の村で形成されている美しいエリアです。今回はご近所のウルヴィーク村からフェリーでアイフィヨルド村へたどり着きました(別記事
「ノルウェーのフィヨルド観光、ウルヴィーク村への旅」)。フィヨルドという自然資源を活用し、観光地としてだけではなく、水力発電所があることからも地元の経済は豊かに潤っています。観光スポットの目玉はノルウェー最大の瀑布(ばくふ)であるヴォーリングフォッセン滝。山の高原から見下ろす絶景には思わずため息をついてしまうことでしょう。
ノルウェーの自然に癒されながら村を散策
旅の案内人を務めてくれる、笑顔が素敵なノルウェー人女性ボルグヒルさん Photo: Asaki Abumi
旅の案内人を務めてくれたのは地元のホテル経営者のボルグヒルさん。「素敵な場所に連れていってあげるわ」と車で村をガイドしてくれました。
ハダンゲルフィヨルド地帯では山から採れた平たい石が建築に利用されている、ここでは石のベンチを発見 Photo: Asaki Abumi
道路にコロコロ落ちているリンゴたち Photo: Asaki Abumi
ハダンゲルフィヨルド地帯といえばフィヨルドと同時に美しい果樹園が有名です。至るところでリンゴの木々が生えており、散歩の途中でも道路にリンゴが落ちているほど! まさにリンゴの村ともいえます。
歩いていると、途中でゴロゴロと大きな音がどこからか響いてきました。「雷かな?」と尋ねてみたところ、ふふふと微笑んだボルグヒルさん。「あれはね、山から石が落下している音よ」。住民はあの音に慣れてしまっているのだそうです。「雪解けになる春になったらまたこの村に戻っていらっしゃい。氷河が山から流れ落ちてくる音は、それはもう音楽のように美しいのよ」。
静かに時を刻む自然の中で暮らす村の人々。ホテルを訪れる外国人宿泊客は、しーんとした村の静けさに驚き、携帯電話やパソコンの電源を切り、無音で美しい自然との営みを楽しむ人が多いそうです。確かにこのリラックスした環境の中にいると、日常生活の仕事や悩み事が吹き飛んでしまいそうです。
フィヨルドの山奥でひっそりと暮らすノルウェーの人々
玄関から出たときに一面に広がる景色がこの風景だったら、人生観が変わりそう Photo: Asaki Abumi
ひっそりと立つ石畳の山荘 Photo: Asaki Abumi
車を5キロメートル走らせ、長いトンネルを抜けてたどり着いたのは標高600メートルの山頂にある「Kjeåsen(シェーオーセン)」農家。ここはアイフィヨルド地域でも特別な場所で、農家の家族は「なぜこんなところに人が住んでいるの!?」という特集で北欧メディアでしばしば話題となります。周囲にお店や人の気配はなく、1974年に水力発電開発のために道路が作られるまでは、食料の運搬も徒歩で自力で行わなければならず、冬は雪で道路が閉鎖されるために何日間も社会と交流できないということもあるそうです。現在は家畜はいませんが、人気のハイキングルートとして個人・団体の旅行者が夏になると訪れる人気スポットとなっています。もしバスをレンタルして団体でこちらを訪れたい場合はアイフィヨルド観光案内所に問い合わせるのがベストだそうです。
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Kjeåsen Mountain Farm(シェーオーセン・マウンテン・ファーム)
びっくり! これが海賊ヴァイキングの墓
ただの石の山積みに見える!? 地位の高い人物と思われる墓 Photo:Asaki Abumi
ボルグヒルさんが連れて行ってくれたのは、なんと海賊ヴァイキングの墓。驚いたことに目の前にあるのは石の山積みでした。この辺りにはヴァイキングの墓を含む鉄器時代からの約400もの墓が点在しており、文化的・歴史的にも貴重なエリアとのこと。「このお墓は石もたくさん積まれていて高さがあるほうよ、きっと王様ランクの人の墓ね」と話すボルグヒルさん。ヴァイキングの墓といえばもっと豪華なものを想像していましたが、なんとも意外でした。
地元で最も古い教会 Photo: Asaki Abumi
中心地に戻り、観光案内所から徒歩でアクセスできる地元で最も古いとされるアイフィヨルド教会(Eidfjord Old Church)にも立ち寄りました。1309年からの歴史ある建物だそうです。
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Hæreid(Hæreid Iron Age Burial Site、ハーレイド鉄器時代埋葬地)
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Eidfjord Old Church(アイフィヨルド古教会)
旅はまだまだ続きます。
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