賃貸住宅経営においても、長期にわたり安定した経営を続ける為には、建物や設備の計画的なメンテナンスが必要になります。
建物管理の実態
国土交通省が実施した民間賃貸住宅実態調査の結果によれば、長期的な修繕計画を概ね作成しているオーナーさんは、わずか18.4%という低い水準にとどまりました。大規模修繕についても「計画的・定期的に実施する」と回答したオーナーさんは14.5%、「必要が生じたときに適宜実施する」が74.4%と過半数を占めています。
大規模修繕を実施する予定がない主な理由としては、「修繕費用の家賃での回収が困難」が47.4%で最も多く、次いで「古くなったら建替えれば良い」が21.1%となっており、計画的な修繕が行われていない実態が浮き彫りになっています。
賃貸住宅の長期的な修繕計画
3つに区分される修繕費用
建物の修繕費用は、短期、中期、長期の3つに区分されます。短期の区分としては、入居者が退去した際に内装などを元に戻す原状回復が挙げられます。入居者の回転率によって左右され、入居者が頻繁に入れ替わるような場合には割高となり、ファミリーのように長期に入居してもらえる場合には、年当たりの費用は安く済む傾向があります。
中期の区分としては、建物の部分的な補修費や設備の交換費用などが挙げられます。設備についてはそれぞれ耐用年数が定められており、交換時期についてはある程度の予測を立てることが出来ます。必ず必要になる費用になりますので、原状回復費用とは別に毎年一定額を積み立てるようにしましょう。
長期の区分としては、建物の外壁や屋根、共用部分の再生をする大規模修繕の費用が挙げられます。大規模修繕については大きな費用が発生する為、どうしても後回しにしてしまいがちですが、適切な時期に実施出来なかった場合、老朽化が進行し抜き差しならない状態に陥ってしまいます。建物の寿命を効果的に伸ばす為には、少し早いくらいのタイミングで実施するのが望ましいです。
長期修繕計画のすすめ
どのような建物であっても、老朽化が進めば外観・内装ともに汚れ、設備についても時代遅れのものとなってしまします。当然ながら、そのような建物に入居者が付くはずもなく、何かしらの対策を取らなければ、入居率の低下や家賃の下落が進行して行くことは明らかです。このような事態に陥らない為には、「長期修繕計画」を作成し、計画的に修繕費を積み立てるようにしましょう。そして、先手を打ったメンテナンスにより、市場での競争力を維持することが重要なのです。