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写真を撮るだけで部屋の輝度対比が分かる(2ページ目)

照明を計画する際、照明器具のデザインや光の効果に関心がいって、部屋の内装色などと照明の関係があまり考慮されないことがあります。そのため天井・壁・床の明るさバランスが悪くなり、落ち着かない雰囲気になってしまうことも考えられるのです。実際に、部屋の明るさバランスは測定器がないと計測できません。しかし、今日ではiOSとAndroidのスマホやタブレットがあれば、部屋の写真を撮るだけでそれを可能にします。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

タブレットやスマホで輝度対比を測定

最近、iOSとAndroidのスマホやタブレットで輝度分布や照度の測定のできる無料アプリが登場しました。このアプリをダウンロードして部屋の写真を撮れば、その空間の明るさ分布(ここでは輝度分布という)が簡単に出せるのです。

輝度とは輝き度合を意味し、単位はcd/m² (カンデラ毎平方メートル)が使われます。ルクスに比べると、少し長くて覚えにくいかも知れません。

光源や照明器具の輝度、および天井、壁など反射面の輝度は輝度計で測定することができます。しかし輝度計は照度計に比べ高価なので、普通の人は待っていないはずです。

そこでおもな光源や照明器具の輝度がどのようになっているかを図1で示しました。このデータによると、日中の太陽光が最も強い輝度を示しています。太陽光のような高輝度は少しでも直視したら目に悪影響を与えます。

輝度のイメージ

図1.各種光源の概略輝度とまぶしさの感覚
(参照:「CONCEPTS IN ARCHITECTURAL LIGHTING」M・David Egan)


地平線に近い位置の夕日になると輝度はかなり低下するので、景色のよいところで夕日を楽しむことができます。それでもまぶしさを感じるのであれば、その時点で直視しないほうが良いです。

乳白カバー付きのシーリングライト器具が住宅で普及していますが、最近はLED化されることによって発光面の輝度が高まっており、直視すると少しまぶしく感じる器具も少なくありません。しかし実際の生活視線では、天井を見上げない限りあまり目に入らないので、さほど気にならないと思います。

話は戻りますが、ダウンロードしたアプリで撮った写真で輝度分布を作ると、始めは正確な輝度値を示してくれないことがあります。その場合は補正が必要になりますが、これは少々面倒です。

したがって、一般の方がこのソフトを活用するのであれば、輝度値より、輝度対比を調べるほうが良いと思います。写真の画面に1000 cd/m² を超える輝度がなければ、輝度値が違っていても対比は変わらないからです。

内装色と照明の関係

日常的な生活空間では、どの程度の輝度対比が薦められるかを表1に示します。
輝度対比

表1. 推奨輝度対比
(参照:「CONCEPTS IN ARCHITECTURAL LIGHTING」M・David Egan)


PC周辺の輝度分布例

写真2.輝度アプリを使って視作業面を撮る

写真2はコンピュータ画面とキーボード付近の輝度を表したものです。

画面の明るさに対してキーボード周辺の平均的輝度はおよそ5:1になっており、この対比はやや良好なことを意味します(画像内の輝度値はどこでもタッチペンで計測でき、数値が出てきます)。


 
一般に視作業空間は天井・壁は明るい仕上げにし、それに対して床は暗い仕上げがよいです。そして、できるだけ生活者の目に負担を与えないためにも、照明器具やTV、パソコンなどの発光面輝度と部屋の反射率は注意深く選択されなければなりません。

表1の推奨輝度対比は外国人の視覚によるもので、日本人とは若干異なると思いますが、この対比を参考にしながら、内装色と照明を考えることが目にやさしく、快適な照明環境のもとで暮らすための一つのヒントにもなります。


参考)写真2で使用したアプリ:
明るさ評価アプリ 「QUAPIX Lite」 岩崎電気株式会社

【関連記事】
「スマホを使って、家の照明にメリハリをつける方法」

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