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我妻恵美子『肉のうた』インタビュー!(3ページ目)

大駱駝艦の女性最古参舞踏家・我妻恵美子さんが新作『肉のうた』を発表! 女性舞踏家を総動員し、大駱駝艦の拠点・壺中天を舞台に独自の作品世界を提示します。ここでは、創作にあたる我妻さんにインタビュー! 作品づくりの過程とその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

作品のテーマ、根底にあるものとは?

ph

2011年『壺中の天地』 ph松田純一

我妻>例えば赤ずきんちゃんのお話でいうと、女の子が狼に食べられて、胃の中に入って、消化吸収されていきますよね。でも猟師が狼をバンと打ち殺したら肉は焼いたり食べたりできるけど、魂は誰のもので、赤ずきんちゃんはどこに行ってしまうのか。その魂、意識のないもの、物質はどこに行くんだろうと……。

霊的な考え方では、現世に対する未練ということになるんだろうけど、今回はそうではなく、魂が物質に変わってしまい、それがどう転がっていくかというのがテーマ。ひとが死んでお葬式をすると、魂も死んでどこかに行く。同時に世の中には赤ちゃんが生まれていたりと、エネルギーの循環が起こってる。命が途絶えたとされたものが、どういう経路、どういう流れを踏まえてまた戻ってくるか、というのが自分なりのテーマとしてあって。

ph

 

でもそれは私が踊りをつくるときに必要なだけで、観ている側にはわからないだろうし、お客さんに伝わる可能性は低いと思う。ただその循環は身体の中の循環にも近くて、生理の周期であるとか、バイオリズムとか、地球と生き物の波長も全部循環していたりする。そういうものが自分の作品における時間の使い方として周っているような感覚があります。

ここ最近の悩みというのが、作品のテイストが似てきちゃうこと。三作品つくってきて、“私の好きな感じってこういう風なんだな”って固まってきたというか。それはそれでいいけれど、次は全く別の雰囲気でやりたい。麿さんの作品をみていると、毎回作品のテイストが違うように感じます。ああいう想像がつかないようなものをつくりたいし、“ああ、こういう感じね”とはならない方向に持って行きたいなと考えています。


麿さんから作品についてアドバイスをもらうことはありますか?

我妻>どの作品もそうですが、毎回本番の10日ほど前に総見があり、頭
ph

2006年『天体のズー』
ph松田純一

から最後まで通して麿さんにみてもらいます。衣裳ができてるときは着用 して、稽古着の場合も白い服を着て白塗りに近い状態で踊ります。総見は第一の関門。それから本番までまた日にちがあるので、そこで詰めていく感じです。

最初にみせるときはすごく怖いですね。だけどそこで、ああそうだなって思うところを突いてくださる。自分が“ここ大丈夫かな?”と思ってるところってどうしても粗になってるから、“こうした方がいいんじゃない?”とひとつの方向性を提示してくださるのはとてもありがたいですね。ただ、そこに甘んじないようにしなきゃとは思っています。

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