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我妻恵美子『肉のうた』インタビュー!(2ページ目)

大駱駝艦の女性最古参舞踏家・我妻恵美子さんが新作『肉のうた』を発表! 女性舞踏家を総動員し、大駱駝艦の拠点・壺中天を舞台に独自の作品世界を提示します。ここでは、創作にあたる我妻さんにインタビュー! 作品づくりの過程とその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

作品の創作法をお聞かせください。

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我妻>大駱駝艦のメンバーでもそれぞれ違うし、作品によっても違うし、麿さんも毎回作品ごとに違います。今回の私の作品に限って言えば、自分でちょこちょこ溜め込んできたもの、こういうイメージでやれたらいいなというものが前提にあって、その中からぼんやりとした形で見えてきたことを、まずみんなに振りとしてやってもらいます。でも実際にひとを立たせてやってみると、頭で想像していたときより面白くない場合もある。

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やっぱり実際に身体を動かしてみて、間の取り方や気持ちの流れから現場でつくることの方が多いですね。ただからっぽで現場に臨んでしまうと、“取りあえず何かやってみて”という感じになっちゃう。私の場合“こうやりたい”というものがある程度見えないと、良し悪しが判断できないところがあって。“今日はこんな風にやりたい”というイメージをまず持ってきて、そこからどう事件が起こっていくかを探る。考えてきたイメージの発展もあれば、その逆でもいい。どっちに転ぶかというのを稽古場で実験して、もう一度持ち帰り、それを踏まえて次の日に臨む、という繰り返しです。

今回は、頭のシーンはこうで、次はこうなってーー、と順番につくっている訳ではなくて、ぼんやりとしていたイメージを形にした上で、じゃあこのシーンはここに持ってこようとか、後から組み立てている感じ。それらを繋いでいく上で、真剣に観る部分もあれば、肩の力を抜いて観る部分もあるような、いい意味での観やすさを持たせようというのは気をつけてるところです。

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2011年『壺中の天地』 ph松田純一


リハーサルにはどのくらい時間をかけていますか?

我妻>壺中天公演はたいてい1ヶ月半くらいかけるのが普通です。今回は白馬の夏合宿があったので、ちょっと短くて8月初旬からはじめました。稽古はほとんど毎晩やっています。15時から18時まではつくりものの作業や確認稽古をして、19時から全員集まって作品の最初から通していく感じです。

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楽曲はオリジナルですね。

我妻>オリジナルの音でつくるのは私にとっては初めての挑戦です。今回は3人の音楽家さんにお願いしていますが、音の頼み方も振付と同じ。こ
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2011年『壺中の天地』
ph松田純一

ういうイメージで踊りをつくります、こういう絵が近いです、とまずは言 葉や詩をみなさんに送っています。 

音楽家のひとり、築山建一郎さんには“骨のイメージで”と伝えました。私の中の骨のイメージというと、あまり深刻ではないというか、カラッとしてる感覚がある。それを踏まえていくつか音をつくってもらい、また“ここをもうちょっとこうしてください”とオーダーしたり……。音があってそこに踊りを合わせるやり方ではなく、“音がこうなら踊りはこうしてみよう”と互いを踏まえてつくっていく。その方が両方とも良く見えたりと、相乗効果が生まれる場合があるし、イメージの助け合いがあるのを感じています。

避けているのは、哀しい演技をしているときに思い切り哀しい曲をかける こと。哀しいシーンなら、むしろちょっと引いた音で突き放してギャップ をつくった方が浮き上がって見える。私はそちらの方が好きで、音楽と身
ph

 

体の距離の取り方はいつも考えるようにしています。もちろん距離を取る こともあれば、ここはベタでいいやというときもある。踊りって言葉を使わない分、観る側は頭を使うじゃないですか。だから、たまに知ってる曲が流れるとちょっとほっとするというか。そういうヌケも、演出として使うことはありますね。

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