パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

ル・シュクレクール【大阪・吹田】(3ページ目)

2014年春、10周年を迎え、大きくリニューアルをした大阪・吹田のブーランジュリ ル・シュクレクールを取材しました。コックコートを脱いでエプロンをかけた岩永歩さん。フレンチスタイルにカリフォルニアの風をいれることで大きく、おおらかな感じになったパンのラインナップ。パンを愉しむひとが集えるカフェ。ル・シュクレクールの今をお伝えします。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

フレンチスタイルにカリフォルニアの風を

パン グロ ラミジャン

パン グロ ラミジャン

リニューアルでパンが大型化したきっかけは、この記事冒頭で書いたレストランのパンをつくるにあたって、研修したサンフランシスコの「タルティーヌベーカリー」にありました。コックコート不要と言われた仕事環境は、そのスタイルだけではなく「気持ちがカジュアルだった」と岩永さんは言います。「パンにとって心地いい環境を整えたら、あとはパンに合わせて一緒に時間を過ごすだけ、というゆったりとした製法を目の当たりにしたんです」。
パン グロ ラミジャン

パン グロ ラミジャン

日ごろ関わりを持っている農産物のつくり手たちのように、自分のパンをもっと身近に感じながら仕事がしたいと思っていた矢先のことでした。岩永さんは、ブーランジェはパンを”つくる”のではなく”育む”、生産者に近い立場、と確信します。
パン オ ノア エ キャソナード

パン オ ノア エ キャソナード

そして、タルティーヌベーカリーのオーナーのチャドさんのパンは、パリもサンフランシスコも関係なく、ただ、チャドさんだからこその人間味溢れるパンでした。それは岩永さんの力になるとともに縛ってもいたパリの呪縛がほどけたときだったのかもしれません。国籍関係なく、そのひとならではのパンであることがどんなに素晴らしいことか。もっと自分だからこそのパンを焼こう。
パン ド ミ

パン ド ミ

タルティーヌベーカリーで出合ったカントリーブレッドは、捏ねずに時間で生地をつなげ、焼き上がりはがっちりとハードに見えても、フワっとした食感に仕上がる、おおらかなパン。水分量も多く、成形や保形ができないほどでしたが、製法にコツがありました。
パン オ フィグ

パン オ フィグ

それは最後にただ丸めるのではなく編むようにまとめることで、流れていってしまいそうな生地のかたちを保持する方法。生まれ変わったル・シュクレクールのラミジャンもこの方法をとります。ルヴァンリキッドをあわせて粉と同量の水が入りますが、水和することで粉の旨味が引き出されています。
カフェ ショコラ バナーヌ

カフェ ショコラ バナーヌ

ラミジャンにはいくつかのバリエーションがあります。ポピュラーな「パン オ フィグ」(920円)、バナナとクルミとチョコとコーヒーというマニア好みの「カフェ ショコラ バナーヌ」(1160円)よかったけれど、カソナードのコクのある甘味が味わい深い「パン オ ノア エ キャソナード」(1200円)がとくに気に入りました。イチオシはもちろんプレーンのラミジャン(1320円)です。
記載しているのは1ホールの価格。1/4から買うことができます。
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