町の人に食の価値を発信していく
ホットサンドにはサラダが付く
インタビューの日は看板商品の「パン グロ ラミジャン」を使った「生ハムと自生のクレソン」のホットサンド(700円)をその席でいただきました。「ハムとチーズとのらぼう菜」「ツナのニース風」など、日替わりでいくつかあります。
パン グロ ラミジャン
「ラミジャン」とはフランスのビストロの名前。そこに無造作に並べてあったパンのさまに喚起されて生まれたパンですが、リニューアルにともない、そのパンも大きく変わりました。クオリティを維持したまま労働時間の短縮を考えて、製法を変えて約2倍、1.2kgの大型化を図り、ナッツやドライフルーツ入りのバリエーションの多くは約4倍の大きさに。これらがカット売りされています。
窓の外を眺めながら、パンを愉しむ
どこか薪のような香りを感じるクラストと、しっとりと水分を湛えた旨味のある生地に挟まれていたクレソンの緑鮮やかなことに目を奪われます。添えられているのもただのサラダならず。オイルとヴィネガーをフワッとまとったみずみずしい葉野菜に、ひそかにクミンやパクチーが香ります。パン屋さんの売場内に設えられた小さなカフェのサラダに対して描いていたイメージを覆す、それは料理人の仕事でした。
有機農家直送の野菜を使う
「ぼくがつくっています。夏は葉ものが少なくて申し訳ないんですけど、子供たちが安心して食べられる野菜を買えるところがあまりないというお母さんにも、ここでおいしいと思ってもらえたら、その野菜について、伝えられるじゃないですか。ブーランジェはさまざまなことを町の人に提供できる職業だと思います。生産者について伝えられますし、うちがパンを卸しているレストランのことも教えてあげられる。まずここで食材に触れてもらって、循環させる役割です。この場で、町の人たちに食の価値を提供していきたいと思っています」。
ハンドドリップのコーヒーはたっぷりサイズ
グラスワインも
だからパン以外のものであっても最低限の知識はもって提供しなければ、という岩永さん。「パン屋さんだからしょうがない、みたいなことは絶対にやりたくなくて、付け合わせのサラダは当然のこと、コーヒーはスペシャリストの力を借りて、自分がパンをつくるのと同程度のスキルを持って臨むことが仕事だと思っています。それらを自分たちでどれだけ担えるか、ということを意識しています」。
タルトフランベやエピなど、焼きたてを愉しみたいパン