トラック練習で、安全かつ効果的なトレーニングを
トラックで安全にトレーニング
そんな中を走るためには、『暑さ対策』が必要です。こまめに水分を補給したり、不調を感じる際には日陰で休んだり。日焼け止めで紫外線から守るというのも、大切な対策といえるでしょう。同時に考えて頂きたいのが、『走る場所』です。いつものお決まりコースを走るのも良いですが、陸上競技場などのトラックを利用することで、安全かつ効果的なトレーニングを行えます。
トラックで走るメリット
陸上競技場には、1周400mのトラックがあります。さらに周囲には、倉庫やスタンド、あるいは水道などもあるでしょう。長距離を走るには、このトラックを何周も回らなければいけません。そのため、
「周回は飽きる」
「景色が変わらないからつまらない」
といった声もあり、避けている方もいるでしょう。しかし暑い日において、トラックで走ることには次のようなメリットがあります。
- いつでも日陰で休むことが出来る
- 手ぶらでも周回毎に給水できる
- 常に人(=管理人)がいる
また同様に、決まったポイントに水分を置いておけば、400m毎に給水が可能になるでしょう。あるいは、水道で水を浴びることも出来ます。しかも走っている最中は手ぶらなので、荷物が邪魔になることもありません。
それでも、何かの拍子に倒れてしまうかもしれません。しかし競技場には、必ず管理人が常駐しているもの。もちろん、AEDをはじめとした救命道具も配置されています。監視カメラが設置されている場合も多いため、万が一の際には人の助けを借りることが出来るのです。
もちろん、「近くに陸上競技場が無い」という人もいるでしょう。その場合には、公園外周など周回コースを見つけるのがお勧めです。周回は長過ぎず、500~1km程度が良いでしょう。公園ならば、日陰を走ることが出来るかもしれません。その点では、トラックより走りやすい場所といえます。管理人こそいませんが、早朝や深夜でない限り、公園には誰かしら人がいるでしょう。休憩は木陰で行えますし、水道もあるはずです。
ただし公園は“走るためだけの場所”ではないので、他の人たちに配慮を忘れないようにしてください。これからご紹介するスピードトレーニングなどでは、急に出てきた自転車や歩行者などと接触の危険性もあります。場所によって、適するトレーニングを心がけることが大切です。
トラックだからこそお勧めのトレーニング方法
陸上競技場トラック
特にお勧めなのは、スピードトレーニングです。10km、20kmなど長い距離を走るのは、ロードを使っていつでも出来るでしょう。しかしスピードトレーニングは、信号などのあるロードコースに不向きとなる場合があります。せっかくトラックを利用するのであれば、トラックのメリットを活かしたトレーニングに取り組んでみてください。バリエーションはアレンジ次第で広がりますが、いくつか代表的なものをご紹介します。
<インターバル>
負荷の高い動きと低い動きを、交互に繰り返すトレーニングです。例えば400mダッシュ→100mjog→400mダッシュ→…」といった具合になります。低負荷の部分を「Rest」とも呼びます。
その他にも、距離ではなく1分毎にダッシュとjogを繰り返すなど、変則的なトレーニングを組むことも可能です。
集団でトレーニングする場合には時間を区切り、Restはゴール地点で取るというのも良いでしょう。例えば200mインターバルならばタイムを1分に設定します。走り終わったら、ゴール付近をグルグルとjogします。30秒で走りきれば30秒休めますし、45秒かかれば15秒で次をスタートするといった方法です。これなら常に集団を保てるので、誰かが遅れて孤立するといった事態を防げます。
【効果:心肺強化、筋力アップ、スタミナ向上 など】
<レペティション>
全速力での走りと休息を繰り返すトレーニングです。インターバルは短いRestで繋ぐため、かなり疲労の残った状態で2本3本と走り続けます。これに対しレペティションは、15~20分程度を完全に休み、回復させたうえで次へと進みます。そのため、1本1本が常に全力疾走の状態になります。
休息はいきなり立ち止まるのではなく、まずjogやウォーキングなどで息を整えるようにします。筋肉が硬直してしまわないようにしましょう。また、暑い場合には日陰に入り、走って熱くなった身体をクールダウンしてあげることも大切です。走る距離は、1000~3000m程度を3~5本程度行います。
【効果:スピード強化、心肺強化 など】
<ビルドアップ走>
レースの目標ペースより遅めのペースから走り始め、1~3km単位などで少しずつペースを上げていきます。最終的には目標ペースより速く走るようにしましょう。場合により、ラスト1kmはタイムを気にせず全力疾走でも構いません。
ペースアップは急激に行わず、10~15秒/km程度上げていきます。トラックの場合はkm単位ではなく、周回でペースアップすると計算しやすいかもしれません。
【効果:スピード強化、心肺強化、ペース感覚養成 など】
シーズン前にレベルアップ
すでにマラソンなどの完走経験がある場合、“マラソンを走り切る”ための体力や持久力は、すでに備わっていると言って良いでしょう。そのうえで、もし「もっと速く走りたい」と望むのであれば、暑い時期を上手く使い、トラックによるレベルアップを目指すのも1つの方法です。先にご紹介したようなスピードトレーニングは、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)やjogと比べて身体に大きな負担が掛かります。シーズンインしてから取り組むには、少々リスキーな内容といえるでしょう。もちろんシーズン前に怪我などしてはいけませんが、上手くトラックでのトレーニングを組み込んでいくことによって、シーズン前に大きくレベルアップを図ることも可能です。
夜はライトアップされる
さらに、スタート直後は混雑して思うように走れないことが多く、また、後半失速なども考えれば、やはり5:30/km弱程度のペースでは走っておきたいところでしょう。それであれば限界スピードはさらに速く、1kmを4分台で走れるレベルまで高めておく必要があるかもしれません。
夏の暑さをネガティブに捉えるのではなく、良いスピードトレーニングの機会と捉えること。実際にトラックに適したトレーニングは、時間も通常のLSDやjogより短くて済むはずです。暑いことにより体力消費が激しく、危険も高い時期だからこそ、トラックを上手く活用してみてはいかがでしょうか。夜に走る場合でも、ライトアップされているので安心です。
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