ジョギング・マラソン/ジョギング・マラソンの走り方、トレーニング

暑い日こそ取り入れたい“トラック練習”のやり方とは?

暑い日のランニングは、脱水や熱中症などの危険があります。いつも以上に疲労してしまい、フラフラして怪我をする可能性もあるでしょう。トラック練習なら、周回を使っていつでも無理なく休憩可能です。また、スピードトレーニングによってレベルアップも見込めるでしょう。

三河 賢文

執筆者:三河 賢文

ジョギング・マラソンガイド

トラック練習で、安全かつ効果的なトレーニングを

トラックで安全に練習

トラックで安全にトレーニング

暑い日のランニングには、注意が必要です。脱水や熱中症などを引き起こすリスクはもちろんのこと、暑さはそれだけで体力を奪います。イメージ通りに身体が動かない状態では、無理をして不要な怪我などに繋がる可能性もあるでしょう。

そんな中を走るためには、『暑さ対策』が必要です。こまめに水分を補給したり、不調を感じる際には日陰で休んだり。日焼け止めで紫外線から守るというのも、大切な対策といえるでしょう。同時に考えて頂きたいのが、『走る場所』です。いつものお決まりコースを走るのも良いですが、陸上競技場などのトラックを利用することで、安全かつ効果的なトレーニングを行えます。
 
<目次>
 

トラックで走るメリット

陸上競技場には、1周400mのトラックがあります。さらに周囲には、倉庫やスタンド、あるいは水道などもあるでしょう。
長距離を走るには、このトラックを何周も回らなければいけません。そのため、

「周回は飽きる」
「景色が変わらないからつまらない」

といった声もあり、避けている方もいるでしょう。しかし暑い日において、トラックで走ることには次のようなメリットがあります。
  • いつでも日陰で休むことが出来る
  • 手ぶらでも周回毎に給水できる
  • 常に人(=管理人)がいる
1周400mですから、ジョギングでも3~4分あれば1周回ることができます。周回毎に調子を確かめながら走れば、不調を感じた際にすぐ日陰に入ることができます。どんなに長く走っていたとしても、400mに1回は休憩ポイントがあるということです。

また同様に、決まったポイントに水分を置いておけば、400m毎に給水が可能になるでしょう。あるいは、水道で水を浴びることも出来ます。しかも走っている最中は手ぶらなので、荷物が邪魔になることもありません。

それでも、何かの拍子に倒れてしまうかもしれません。しかし競技場には、必ず管理人が常駐しているもの。もちろん、AEDをはじめとした救命道具も配置されています。監視カメラが設置されている場合も多いため、万が一の際には人の助けを借りることが出来るのです。

もちろん、「近くに陸上競技場が無い」という人もいるでしょう。その場合には、公園外周など周回コースを見つけるのがお勧めです。周回は長過ぎず、500~1km程度が良いでしょう。公園ならば、日陰を走ることが出来るかもしれません。その点では、トラックより走りやすい場所といえます。管理人こそいませんが、早朝や深夜でない限り、公園には誰かしら人がいるでしょう。休憩は木陰で行えますし、水道もあるはずです。
ただし公園は“走るためだけの場所”ではないので、他の人たちに配慮を忘れないようにしてください。これからご紹介するスピードトレーニングなどでは、急に出てきた自転車や歩行者などと接触の危険性もあります。場所によって、適するトレーニングを心がけることが大切です。
 

トラックだからこそお勧めのトレーニング方法

陸上競技場トラック

陸上競技場トラック

トラックでは、1周の距離が決まっています。この特徴を用いると、より競技力向上に繋がるようなトレーニングが可能です。もちろんジョギングなども出来ますが、せっかくなら普段は出来ないトレーニングに取り組んでみましょう。

特にお勧めなのは、スピードトレーニングです。10km、20kmなど長い距離を走るのは、ロードを使っていつでも出来るでしょう。しかしスピードトレーニングは、信号などのあるロードコースに不向きとなる場合があります。せっかくトラックを利用するのであれば、トラックのメリットを活かしたトレーニングに取り組んでみてください。バリエーションはアレンジ次第で広がりますが、いくつか代表的なものをご紹介します。

<インターバル>
負荷の高い動きと低い動きを、交互に繰り返すトレーニングです。例えば400mダッシュ→100mjog→400mダッシュ→…」といった具合になります。低負荷の部分を「Rest」とも呼びます。
その他にも、距離ではなく1分毎にダッシュとjogを繰り返すなど、変則的なトレーニングを組むことも可能です。
集団でトレーニングする場合には時間を区切り、Restはゴール地点で取るというのも良いでしょう。例えば200mインターバルならばタイムを1分に設定します。走り終わったら、ゴール付近をグルグルとjogします。30秒で走りきれば30秒休めますし、45秒かかれば15秒で次をスタートするといった方法です。これなら常に集団を保てるので、誰かが遅れて孤立するといった事態を防げます。
【効果:心肺強化、筋力アップ、スタミナ向上 など】

<レペティション>
全速力での走りと休息を繰り返すトレーニングです。インターバルは短いRestで繋ぐため、かなり疲労の残った状態で2本3本と走り続けます。これに対しレペティションは、15~20分程度を完全に休み、回復させたうえで次へと進みます。そのため、1本1本が常に全力疾走の状態になります。
休息はいきなり立ち止まるのではなく、まずjogやウォーキングなどで息を整えるようにします。筋肉が硬直してしまわないようにしましょう。また、暑い場合には日陰に入り、走って熱くなった身体をクールダウンしてあげることも大切です。走る距離は、1000~3000m程度を3~5本程度行います。
【効果:スピード強化、心肺強化 など】

<ビルドアップ走>
レースの目標ペースより遅めのペースから走り始め、1~3km単位などで少しずつペースを上げていきます。最終的には目標ペースより速く走るようにしましょう。場合により、ラスト1kmはタイムを気にせず全力疾走でも構いません。
ペースアップは急激に行わず、10~15秒/km程度上げていきます。トラックの場合はkm単位ではなく、周回でペースアップすると計算しやすいかもしれません。
【効果:スピード強化、心肺強化、ペース感覚養成 など】
 

シーズン前にレベルアップ

すでにマラソンなどの完走経験がある場合、“マラソンを走り切る”ための体力や持久力は、すでに備わっていると言って良いでしょう。そのうえで、もし「もっと速く走りたい」と望むのであれば、暑い時期を上手く使い、トラックによるレベルアップを目指すのも1つの方法です。

先にご紹介したようなスピードトレーニングは、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)やjogと比べて身体に大きな負担が掛かります。シーズンインしてから取り組むには、少々リスキーな内容といえるでしょう。もちろんシーズン前に怪我などしてはいけませんが、上手くトラックでのトレーニングを組み込んでいくことによって、シーズン前に大きくレベルアップを図ることも可能です。
夜はライトアップされる

夜はライトアップされる

例えばいくらフルマラソンを走りきれても、6:00/kmが限界スピードでは、サブ4は達成できないでしょう。サブ4はアベレージでも約5:40/kmが必要です。
さらに、スタート直後は混雑して思うように走れないことが多く、また、後半失速なども考えれば、やはり5:30/km弱程度のペースでは走っておきたいところでしょう。それであれば限界スピードはさらに速く、1kmを4分台で走れるレベルまで高めておく必要があるかもしれません。

夏の暑さをネガティブに捉えるのではなく、良いスピードトレーニングの機会と捉えること。実際にトラックに適したトレーニングは、時間も通常のLSDやjogより短くて済むはずです。暑いことにより体力消費が激しく、危険も高い時期だからこそ、トラックを上手く活用してみてはいかがでしょうか。夜に走る場合でも、ライトアップされているので安心です。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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