貧乏神、疳の虫を追い払って、うまくいくこと
昔の人は、迷信を使って合理的に問題解決をしていたのかもしれない
貧乏神を追い払うために、毎日部屋を掃除して塩を巻いておけば、気持ちがさっぱりしてリフレッシュします。すると、友だちを招いてみたくなったり、花を飾ってみたくなったりして、貧乏であることも忘れて楽しく生活していけるかもしれません。疳の虫を鎮めるために、母から教えられた虫封じのおまじないを繰り返しているうちに、気持ちがすっと落ちついて、感情のコントロールが上手になるかもしれません。
ちなみに、問題を当事者から切り離すテクニックを、心理学では「外在化」と呼びます。何かの問題に苦しんでいる人に「あなた自身が問題なのではない。その『問題』があなたを苦しませているんです」と、問題を本人から切り離してあげると、本人はその問題から距離を置くことができるのです。
日本に古くから伝わる迷信やおまじないの多くも、外在化の発想だと言えます。「妖怪のせい」だと思えば、自分を責め過ぎてうつにならなくて済みますし、おまじないをせっせと試しているうちに、不安や苛立ちが落ち着いて、意外な形で問題が片付いてしまうことだってあるのです。
「妖怪ウォッチ」は、子どもも大人も救う!
妖怪キャラクターが、人間関係のトラブルを解決してくれるかも?
たとえば、部屋にこもってゲームばかりしている子に「外に出なさい!」「運動をしなさい!」と叱りとばしたところで、聞く耳すら持ってくれないでしょう。それより、「この部屋に『ヒキコウモリ』の気配を感じるなぁ。毎日3時に妖怪退治をするから、その間は外に出てて」などと言って、犬の散歩にでも行かせてしまえば、部屋にこもりっぱなしのライフスタイルを変えてあげることができます。
人前の思わずおならが出てしまった子が、「こいつ、くせ~!」などとはやし立てられているときに、「『おならず者』は、みんなのとこにも、いつやってくるかわからないよ~」などと一言伝えれば、おならをした子は失敗に泣かずにすみますし、はやし立てた子どもたちは「自分にも同じことが起こるのかも」と神妙になり、からかいをやめるでしょう。
妖怪を使った外在化は、子どもだましに思えるかもしれません。とはいえ大人だって、にっちもさっちもいかない状況を、「こりゃ、妖怪のせいかもな!」と考えれば、楽になることもあるのではないでしょうか? 何もかも「自分の責任」と考えて頑張りすぎるより、ときには「外在化」を上手に使って、発想の転換をしてみませんか?