「心の恋人」を喪った悲しみ
映画を観ていて、その物語の中でのキャラクターも込みで主人公や登場人物に恋愛に似た感情を抱くことってありませんか? ゴトウは多々あります。『マイ・プライベート・アイダホ』のリバー・フェニックスとか、『パルプ・フィクション』のブルース・ウィリスとか、『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャーとか。最近だと、『GF*BF』のジョセフ・チャン(張孝全)や、今年の映画祭で上映された『フリーフォール』の主人公(無名の方)にベタ惚れしました。数ある片思い遍歴の中で、ゴトウにとって本当に特別な、この人が出ていたらまず間違いなくときめいちゃうっていう俳優が、ロビン・ウィリアムズでした。『ガープの世界』『いまを生きる』『レナードの朝』『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』…どれも、天使のような笑顔で、若者や女性や患者を癒し、優しく導くような役柄でした。『フィッシャー・キング』では、突然妻を失ったショックで精神を病んでホームレス同然となり、赤い馬に乗った騎士に追われる幻覚に悩まされる男を演じており、ああ、愛しのロビン様…何とかしてあげたい!と心の中で叫びをあげていたのを憶えています。
そんなロビン・ウィリアムズは、1993年の『ミセス・ダウト』で女装姿を披露し、1996年の『バードケージ』ではゲイクラブのオーナー(パートナーが豪華なおネエさん)を見事に演じ、多くのゲイのファンたちに記憶されています。近年も、『The Night Listener』(2006年、日本未公開)という作品でゲイのラジオ・パーソナリティ役を演じています。
「実はゲイなのでは?」という噂が絶えないほど、見た目的にも、優しい雰囲気も、あまりにゲイっぽかったロビン・ウィリアムズですが、ストレートの俳優の中で彼は特別な存在だったと思います。90年代のゲイ・アイコンであり、「名誉ゲイ」であり、ゲイたちの「心の恋人」とも言うべき、チャーミングでラブリーな人。日本でも、本当にたくさんのゲイの方たちが、ロビンへの追悼のコメントをツイートしています。後にも先にも、彼ほどゲイに愛される俳優はいないのではないでしょうか?
性に奔放な母親を持つレスリング好きなロビン、傷ついた人を癒す天使のような笑顔のロビン、コメディアンの本領発揮でしゃべりまくるロビン、「教科書を捨てろ!」と教壇の上から叫ぶロビン、裸で草むらの上に寝そべるロビン、素行は悪いが天才的な才能を持つ青年を親身にサポートするロビン、家政婦に扮してゲラゲラ笑わせてくれたロビン、そして、色気ムンムンのゲイっぷりで魅了してくれたロビン…どのロビン・ウィリアムズも本当に素敵でした。たくさんの感動を、笑いを、ときめきを、ありがとう! どうか、天国で安らかに眠ってください。