つながりやすさを追求し、携帯各社が基地局の増設を加速させている。
電気通信事業者協会によると2014年3月末現在、わが国の携帯電話(PHSを含む)の契約者数は累計で約1億3955万台に達しており、日本の人口に比肩するだけの人数となっています。携帯市場は国内の独自路線に傾倒したことから「ガラパゴス」などと揶揄(やゆ)されながらも、数字上は赤ちゃんからお年寄りまで1人1台が携帯電話を所有(契約)している計算になります。
このように日本の携帯マーケットは完全な飽和状態に陥っており、そうしたなか大手3社はしのぎを削り、新規顧客の獲得に躍起になっています。2008年にソフトバンクが米アップルのiPhoneを取り扱い始め、快進撃を始めたものの、2011年10月にKDDI(au)が、さらに2013年8月にはNTTドコモも満を持してiPhoneの取り扱いを開始したことで、シェア争奪戦はさらに熱を帯びるようになりました。
今日では「つながりやすさ」は他社との差別化要因として有効な切り札になっており、各社、通信エリアを改善・拡大すべく基地局の増設に力を注いでいます。基地局の増設は安定かつ高品質な通信・通話の実現につながり、災害時の強いネットワークの構築にも寄与します。今や携帯電話は通信インフラの骨格として不可欠な存在だけに、基地局の増設は至上命題に等しくなっています。
基地局設置に伴う使用料の収受は、不動産貸付業と見なされ法人税が課税
屋上に携帯基地局のアンテナを設置し、設置使用料を受け取ると、法人税の課税対象になる。
ただ、その際には注意が必要です。賃貸に伴う使用料の受け渡しがない「使用貸借契約」を締結するのであれば問題はないのですが、管理組合が使用料を受け取る「賃貸借契約」を締結し、実際に携帯電話会社から設置料収入を得ると、その収入に対して法人税が課税されます。管理組合が不動産貸付業(収益事業)を行なっていると見なされ、税金が徴収されます。今年7月、こうしたケースの課税関係について、国税庁が収益事業判定に関する一定の見解を示しました。
【マンション管理組合が基地局の設置場所を貸し付けた場合の収益事業判定】
<課税か否かの判定> ※国税庁のホームページをもとに解説
管理組合が携帯電話会社との間で基地局設置のためにマンションの屋上の使用を目的とした建物賃貸借契約を締結し、マンション管理組合が屋上使用の対価として設置料収入を得た場合、この収入は法人税法上の収益事業(不動産貸付業)に該当する。
<理由説明>
法人税法上、法人に対しては各事業年度の所得について法人税を課すこととしており、他方、各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得には法人税を課さないこととしている。したがって、マンション管理組合に対する法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなる。
法人税法上の収益事業とは、販売業、製造業その他の一定の事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい、この一定の事業には不動産貸付業が含まれている。したがって、マンション管理組合が賃貸借契約に基づいてマンション(屋上)の一部を他の者に使用させ、その対価を得た場合には、収益事業(不動産貸付業)に該当し、その収益事業から生じた所得に対して法人税が課税される。
次ページでは、類似のケースとして「空き駐車場を外部に賃貸する場合の収益事業性の判定」について、参考情報としてご紹介します。