マンションの空き駐車場を外部に賃貸する場合の収益事業性の判定 

駐車場の写真

マンション内の空き駐車場を第三者に賃貸した場合の課税関係はどうなるのか?

高齢化に伴うマイカー利用の低下や若者の自動車離れなど、昨今のマンション事情として敷地内駐車場に空きが生ずるケースが増えてきています。そのため、管理組合が空き駐車場を外部(非居住者)に賃貸する行為が散見されるようになりました。

その際、賃料収入に対する課税関係がどのようになるのか、2012年3月に国税庁から3つのケースが示されました。

【モデルケース1】 すべてが収益事業に該当するケース

Aマンションでは恒常的に相当数の駐車場が空いており、管理組合が区分所有者に対して駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明。駐車場の外部貸しを行うこととした。

この外部貸しを開始するに際し、募集は区分所有者と外部者とを分けずに広く行い、使用は区分所有者であるかどうかを問わず、申し込み順とした。また、使用料や使用期間などの条件も区分所有者と同様とし、たとえ区分所有者から使用希望があったとしても、契約中の外部使用者に対して早期退去を求めることはしない。

<国税庁の判定>

Aマンションが行う外部貸しは区分所有者に対する優先性がまったく見られず、町場の有料駐車場と同様、駐車場業を行っているに等しい。よって、その全体が収益事業たる駐車場業に該当し、外部使用部分はもとより区分所有者の使用分も含め、すべてが法人税の課税対象になる。


【モデルケース2】 外部使用部分のみが収益事業に該当するケース

Bマンションでも恒常的に空き駐車場が発生しており、管理組合が駐車場需要を確認したところ、当面は空き駐車場が解消する予定がないことが判明した。そこで、Aマンションと同様、駐車場の外部貸しを行うこととした。

その際、募集は外部に対しても広く行うが、あくまで区分所有者のための駐車場であることから、外部貸しに当たっては区分所有者を優先する条件を設定した。具体的には、区分所有者の使用希望がない場合にのみ募集を行うこととし、区分所有者から駐車場の使用希望があったときには、一定の期間以内に外部使用者は明け渡さなければならないとした。

<国税庁の判定>

Bマンションが行う外部貸しは区分所有者に対する一定の優先性が見られることから、少なくとも区分所有者の使用に関しては、収益事業たる駐車場業に該当しないと考えられる。他方、外部使用部分は管理業務の一環としての共済的事業とはいえず、独立した事業を行っていると考えるのが相当。従って、外部使用部分には法人税が課税される。


【モデルケース3】 いずれも収益事業には該当しないケース

駐車場の写真その2

機械式を平置き式の駐車場に変更すると、駐車場のメンテ費用が大幅に削減できる。

Cマンションでは区分所有者の転出により空き駐車場が発生したが、他の区分所有者の中に使用希望者がいないことから、新たな使用希望者が現れるまで空き駐車場の状態にしておく予定でいた。

そうしたなか、近隣で道路工事を行っている土木業者から工事期間(約2週間)に限って空き駐車場を使用したいとの申し出があった。これを受け、Cマンションでは短期間であり、区分所有者の使用の妨げにはならないと考えられることから、これに応ずることとした。

<国税庁の判定>

Cマンションが行う外部貸しは、そもそも積極的にCマンションが外部使用を行おうとしたわけではなく、相手方(区分所有者以外の者)の申し出に応じたものである。また、区分所有者の利用の妨げにならない範囲内で、ごく短期的に行うものであり、以上から、外部貸しを含めたCマンションが行う駐車場使用の全体がいずれも収益事業には該当しないものと考えられる。

☆印  
繰り返しになりますが、分譲マンションは区分所有者の共有財産です。その財産をどのように利活用するかは、すべて管理組合の独自判断に委ねられます。よって、居住者の総意として屋上や空き駐車場の使用拡大を是認するのであれば、それは利活用の一法として有効であると考えます。

ただ、基地局の設置に伴う電磁波の健康被害が一部では取り沙汰されており、また、部外者への空き駐車場貸しは居住者が駐車場の使用を希望した際、非居住者からの明け渡しに時間がかかるなどのトラブルが想起されます。本来、優先されるべき区分所有者の利益(駐車場の使用権)が、部分的にせよ毀損(後順位)することが考えられます。

当然ですが、何事にも副作用は存在します。100%リスクフリーな事業など、この世にはありません。それだけに、目先の利益ばかりを追求し、後になってトラブルに泣かないためにも、組合財産の使用拡大に当たっては、内在するリスクを総点検したうえでの最終判断を組合独自で導き出す努力が欠かせません。

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