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森優貴『オセロー&オテロ』インタビュー!(5ページ目)

ドイツ・レーゲンスブルク劇場芸術監督の森優貴さんが、この夏セルリアンタワー能楽堂に登場! 2008年に伝統と創造シリーズ第1弾『ひかり、肖像』を手掛け、好評を博した森さん。今回は、能、ダンス、オペラのアーティストと共に、シェイクスピアの『オセロー』を題材にした新作を発表します。ここでは、創作にあたる森さんにインタビュー! 作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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現在2017/2018シーズンまで契約更新が決まっていますね。
今後の展望をお聞かせください。

森>芸術監督になって2シーズンが終わり、ドイツの舞台芸術協会も注目してくださって、いろいろなお話をいただいています。ただやっぱり、もうひとつ規模の大きい劇場に行けたらという想いもある。大きい劇場に行けばもっとダンサーを採用できるし、予算ももっと増えるし、予算があればゲスト振付家も呼べるから僕も一歩引ける。日本と行ったり来たりもしやすくなるので、そういう風にやっていけたらとは考えているのですが……。

カンパニーで日本公演をしたいという夢もあります。日本はダンサーの中でもとても注目されていて、経済的にも文化的にもトップを走る国という目で見られている。日本人の監督をボスに持ったダンサーの想い、僕に錦を飾らせてあげたいという気持ちもあるようで、“優貴、いつ日本に行けるの?”とよく言われます。ただ現実的にはなかなか難しいですね。だからこそ、日本での舞台はひとつひとつ大切にしなければと思っています。

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(C)佐藤美紀


芸術監督になり初めての東京公演となる『オセロー&オテロ』。
森さんが東京で踊られる貴重な舞台でもあります。

森>『オセロー』の物語は、シェイクスピアの中でも人間の根本的なものが出ている作品のひとつ。嫉妬もあり、愛もあれば、差別感もあるでしょう。ダンスと能とオペラのフィルターを通すことで、それがどんな感情で表れるか。

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(C)佐藤美紀

ダンスって言葉がないからこそ、伝わるときはすごく伝わる。感情と動きが一致して音楽に乗せて表現されるからこそ、伝わるレベルが全く違う。人それぞれ伝わり方は違うでしょうが、それはそれで良い。ただ、わかろうとしない方が良いとも思っていて……。でも日本人の国民性なのか、どうかするとみなさんきっちりわかろうとする。 

創る側の言い訳だと言われるかもしれないけれど、僕たちの使命って全員にわかるようにつくることではないと思うんです。自分の感性を表現することにより感情を共有するのがクリエイターの役割であって、半分は観客からのスタンバイモードも必要だし、半分は僕からのはっきりした提示が必要になる。僕としては、わからなくてもいいから感じて欲しい。 
オセロー、デズデモーナ、イアーゴ、3人のどの視点から観てもいいし、いろんな感情を受け取ってもらえたらと……。言葉じゃない。それがきっと、身体表現の、ダンスの特許なのだと信じています。

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(C)佐藤美紀



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