東西統一への過程

ガイド:
1990年頃、東ドイツから東西統一までの過渡期はどのようだったのですか? 音楽産業は多くの人たちが暫くしてキャリアをまっとうせず、辞めてしまう事が多いですが、東ドイツのアーティストにもキャリアを続けた人が結構いますよね。

フランク:
1989年~1990年にかけては全ての人、特にアーティストにとっては大きなチャレンジの年でした。東ドイツの人々は、遂に長い間求めてきた西側諸国からの全ての音楽を買えるようになりました。多くの東ドイツのアーティストは演奏したり、音楽を売る事ができなくなって、諦めました。でも、AG. Geigeで僕たちは音楽だけを生業としていなかった。ほとんど全てのお金を新しい機材につぎ込んで、毎日の仕事を続けました。変革の年、僕はフリーランスのグラフィックデザイナーとして働いていましたが、音楽を作り続けました。AG. GeigeのメンバーだったOlaf Benderと音楽スタジオを作りました。1996年には自分たちのレーベル、1999年にraster-notonとなったRastermusicを設立しました。僕たちは、クリーンで完全に実験的な電子音楽に焦点をあて、レーベルは時を経て国際的に成功する事が出来ました。

raster-noton


現在の音楽活動

ガイド:
東ドイツ後のあなたの作品を聴いてみると、ミニマルテクノ的な電子音楽を中心にやっていますね。東西ドイツが統一された後、あなたの音楽キャリアはどのように変わっていったのですか?

フランク:
2000年以降、ベルリンに住んでいて、僕は現在フリーランスのミュージシャンです。僕の情熱である電子音楽に力を注いでいます。時には抽象的で挑戦的、時には聴きやすくミニマルテクノに影響を受けたものです。ライヴ演奏では、音楽を視覚的要素と組み合わせます。リアルタイムのコンピュータ制御された抽象的グラフィックパターンを音楽と強くシンクロさせるのです。

オスタルギー

ガイド:
「オスタルギー」という言葉がありますね。Erikaのタイプライター、トラバント、Pittyのスクーター、そしてアレクサンダー広場にあるテレビ塔、世界時計等を見ると、僕はそこから感じるレトロ・フーチャリズムに実際惹かれてしまいます。それはイデオロギーというよりも芸術として。東ドイツで暮らしていた人たちが彼らの記憶から同じものを感じるのかは分からないですが、あなた自身がオスタルギーをどのように捉えているか知りたいです。

フランク:
ベルリンのテレビ塔が美しい建築物であり、東ドイツに有能な建築家、デザイナー、科学者がいた事は疑う余地がないです。問題は、権力者(最終的決定権をいつも有する)による経済や芸術的な決定に対する干渉です。それは深刻な問題を生み出し、人々を交代させたり、プロジェクトをストップさせました。アイデア、デザイン、建築、情報、生産、流通にわたり全てが国の支配下に置かれました。民間によるビジネスは不可能で、最終的に人々は興味とやる気を失いました。人々はプロパガンダとシークレットサービスによる監視に飽き飽きしました。少なくとも70年代後半から、国は弱い経済と環境破壊に苦しんでいました。実際、東ドイツで一生涯を過ごしてきた人たちが、過去を振り返り、「OK、全てが悪かった訳ではない」という気持ちは分かります。そういう意味で、オスタルギーは頻繁に疲弊した、時には失われた人生を忘れる手助けをしてくれるのでしょう。僕自身について言えば、前を向き、振り返らず、自分で決める自由と東ドイツで経験した制限と制約なく生きる可能性を謳歌しています。

今後のプラン

ガイド:
将来の音楽活動のプランがあれば、教えてください。

フランク:

継続して新しい音楽を作り、発表していきます。5月6日にraster-notonより日本のアーティスト、Kyokaによる新譜が僕のプロデュースで出ました。
7月には、ストックホルムのEMSスタジオに在留して、新譜を作ります。AG. Geigeについてのドキュメント映画もあり、DVDがまもなく発売されます。

Die AG Geige - ein Amateurfilm (facebook)

ガイド:

たくさんの質問に答えてくれて、本当に感謝します!ドイツを訪れる機会があれば、ぜひあなたのライヴを拝見し、お会いしたいものです。

フランク:
あなたの質問と興味に感謝します。いつか会えるといいですね!

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*フランク・ブレットシュナイダーについても書かれています。


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