テクノポップ/海外のテクノポップ

東ドイツで活動したアーティストに取材(共産テクノ)(4ページ目)

ここまで僕の共産テクノに関する調査研究をしてきましたが、今回は実際にその時代に活動していた東ドイツ出身のアーティストであるフランク・ブレットシュナイダーに突撃取材。現在もraster-notonというレーベルを立ち上げ、電子音楽の世界で現役バリバリのフランクに僕の疑問をぶつけてみました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

バイオリン部活!?

ガイド:
1986年にあなたはAG. Geigeのメンバーとして活動し始め、東ドイツ時代に3枚のアルバムをリリースしています。Geigeはバイオリンの意味ですが、どうしてAG. Geigeと命名したのですか?

フランク:
trickbeat

Trickbeat

そう、1986年に僕はAG. Geigeを立ち上げ、1987年に最初のカセットテープ『Yachtclub + Buchteln』をリリースしました。その後、『Trickbeat』という別のテープもリリースしましたが、それは実のところ、Amigaから1989年にリリースされた同名の最初の公式アルバムのためのデモテープのようなものだったのです。だから、東ドイツでは2つのリリースが全てで、僕たちの3枚目で最後のアルバム『Raabe?』は1991年に西ベルリンをベースにしたZensorというレーベルからのリリースだったのです。1993年にアルフレッド・ヒルスベルグ(Alfred Hilsberg)から彼のZick-Zackレーベルからのアルバム・リリースのオファーもあって、デモは出来上がっていたのですが、バンドは解散してしまったのです。

 

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AG. Geige @Karl-Marx-Stadt (1986)

名前は単純に面白がってつけただけです。当時は、単に滑稽の極みとして。AGはドイツ語で「Arbeitsgemeinschaft (部活)」の略称で、スポーツ、科学、文化などの多様な活動のための放課後に集まる部活。でも、それにGeige(バイオリン)をつけるのは単に面白いと。バイオリンは真面目な楽器で僕たちが出している奇妙なノイズとは対照的だったから。で、人々を混乱させてやろうと。

 

ガイド:
AG. Geigeの音楽指向はKriminelle Tanzkapelleとは違いますね。Ata TakやZick Zackのような音楽との接点を感じます。これは単なる偶然なのか分かりませんが、「Zick-Zack」という曲もありますね。

フランク:

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AG. Geige @Berlin (1989)

もちろん、AG. Geigeは違います。これは、プロジェクトとしてだけではなくバンドでしたから。音楽の多様性は、Kriminelle Tanzkapelle(Suicideに主に影響された)と比べるともっと広がってリッチになりました。僕の楽器とスタジオ技術を使う技能も早く向上しました。新しいクオリティです。西ドイツでの「Geniale Dilettanten」といったムーヴメントのように聴こえるかもしれないですが、実際はThe Residents、Talking Heads、Laurie Andersonといった欧米の音楽からインスパイアされたものです。「Zick-Zack」はレーベルとは関係ありません。

 

覆面パフォーマンス

ガイド:
AG, Geigeのライヴ映像をYouTubeで見ました。みんなDaft Punkか2 many djsのように覆面をしていました。演奏をする場所を見つけるのは簡単でしたか?

フランク:
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AG. Geige @Zurich (1990)

はい、僕たちはいつも覆面とコスチュームをライヴ演奏のため着用していました。映像もスライドショーもやっていました。1988年以降、バンドの曲は東ドイツの放送局(特にDT64)で顕著にエアプレイをされるようになりました。だから、ライヴ演奏の場所を見つけるのは難しくなかったです。特に東ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデンでは、たくさん演奏をして、結構な数のファンがいました。1990年以降は、西ドイツ、オーストリア、スイス、フランスで演奏していました。
AG. Geige Live 1 (YouTube)
AG. Geige Live 2 (YouTube)

 

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