フィンランドで一番優雅な夏の過ごし方?本物の古城でのオペラ観劇
ロシアとの領土争いを続けていたスウェーデンが、15世紀に要塞として築いたオラヴィ城。フィンランド三大古城のひとつに数えられ、なんといっても夏のオペラ・フェスティバルの開催地として世界的に知られる
フィンランドのハイシーズンはなんといっても夏。夜でも外は明るく、木々は生命力にあふれ、空も湖も真っ青にそまる……。そんな最高の自然環境の中で、見るからに冬よりもアクテイブになっているフィンランド人たちは、各街でさまざまな「夏の恒例イベント」開催や参加に勤しみます。なかには
奥様運び世界選手権のように、浮かれすぎていて理解に苦しむヘンテコ夏季行事もありますが、一方で最も優雅なフィンランドの夏の恒例行事といえば、間違いなくサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバルでしょう!
フィンランド最大の湖のほとりに開けた港街サヴォンリンナ
サヴォンリンナは、ヘルシンキから電車で4時間あまりの、東の湖水地方にある地方都市。こじんまりとした閑静な湖畔の街は、なんといっても夏のオペラ・フェスティバルの開催地として全国的に有名です。サヴォンリンナには、オラヴィ城という1400年代にスウェーデン軍によって築かれた軍事要塞が、今でもその雄々しい全景をとどめています。ちなみに日本では、この城がTVゲーム『ドラゴンクエスト』の初期作に出てくる竜王の城のモデルになったというエピソードでもひっそりと知られています。
世界最北の石造りの城砦だと言われている
城は2つの運河の合流域に浮かぶ小さな島の上にあるので、ダジャレではないですがまさに湖上の古城。かつては血なまぐさい戦いも繰り広げられた歴史を背負った場所ではありますが、いかにもフィンランドらしい森と湖の広がる景色を背にした風格ある城の佇まいは圧巻です。この類まれな場所をなにか文化事業に活かせないと考えたとあるオペラ歌手が、城の中でコンサートを開催したことがきっかけとなり、1967年からは毎年開催のオペラ・フェスティバルとして、世界中から観客を集める夏のフィンランドの一大イベントに発展していったのでした。
夏の開催期間には、毎夜一作品ずつ大作が上演される
まさにひんやりとした石造りの城内に舞台が設置されているので雰囲気満点!
オペラ・フェスティバルシーズンは、沈まぬ太陽の輝く7月上旬から8月上旬にかけての約1ヶ月間。期間中は毎日、城内に設置された石造りの舞台で重厚なオペラ作品が上演されます。
ファンの多い人気作品はあっという間にチケットも売れてしまうので早めに予約を!
毎年複数の演目が用意され、日替わりで毎夜1作品ずつ上演。世界中の誰もが知るクラシカルな名作から、フィンランドの民族叙事詩をテーマに扱ったものや、かなり現代的な演出がなされる作品まで、毎年多彩なラインナップです。石造りの舞台のムードにも助けられた、迫力あるパフォーマンスを楽しみながらも、時どき外のかもめの鳴き声が響いてきたり、鳥が舞台に迷い込んできたりするのはご愛嬌。
オーケストラは国内各地のプロオーケストラの団員が集められて編成された特別楽団で、ソリストや音楽監督も例年豪華。上演演目は例年かなり前もってウェブサイト上で発表されるので、観賞作品にこだわる人は、早めにスケジュールを確認してチケットを抑えるのがよいでしょう。
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サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル公式ウェブサイト(英語)
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