大阪の中のパリ
リニューアルしたダイビルの1階、路面店。
大阪は本町の人気店、「フール・ドゥ・アッシュ」が移転とともに店名もあらたに「パリ-アッシュ」として中之島で再スタートをきったのは昨夏のことでしたが、2013年末のAll About読者が選ぶベストパンでは早くも7位にランクインしていました。
ハード系のパンから惣菜パン、焼き菓子まで、アッシュならではの雰囲気
移転先は新しくなったダイビル本館。大正時代からの歴史ある旧ダイビルのレンガや石造りの装飾を復元したことで話題になりました。美術館や図書館がある地区で、川の中洲に位置することなどから、この中之島のことをパリのシテ島にたとえる人も多いそうです。
サンドイッチはお昼に売り切れてしまうことも
店構えはモダンなガラス張りから重厚な石造りの雰囲気へ。でもしかし、ドアを入るとそこはいつものあかるいアッシュ・ワールド。楽しげなネーミングのパンが並び、これはどんな味がするのだろう?どれを買おう?と、パン屋さん巡りをするパンの愛好家のみならず、訪れた誰もを夢中にさせます。
フランス的な焼き菓子も充実
「フール・ドゥ・アッシュ」から数えてこの秋で10年、「パリ-アッシュ」としてはもうじき1周年を迎えるこの店のオーナーシェフ、天野尚道さんにお話を伺いました。
天野尚道さん
パリが好きで、フランス的なパンやお菓子をつくろうと思って「フール・ドゥ・アッシュ」で8年間続けてきたけれど、年を経るごとに「はたして自分がやっていることはこれでよいのか」と迷いが出てきた、と天野さんは言います。
たとえば、お客さんのほとんどはそれを楽しみに訪れるに違いない、アッシュならではのパン。製菓の技法を活かし、フルーツやナッツやソースがふんだんに練り込まれた彩り豊かなパンはフランス的とはいえず、さらにその独創性はパン屋としてどうなのか、といったような疑問が出てきたのだそうです。
アッシュならではのセーグルのバリエーション
ここらへんで一旦立ち止まって考えてみたい、と思っていた矢先、リニューアルするダイビル本館から出店の依頼がきたことは、天野さんにとって渡りに船の機会。開店準備期間にパリで3ヶ月を過ごし、自分の進む方向性を再確認するのに、それはほんとうによいタイミングとなったようです。