国の政策や税制特例などを見ていると、中古住宅の活用に重点が置かれていることがわかります。資材や人件費が高くなり新築住宅の価格が上昇傾向を示す中、これまで以上に購入候補としての中古マンションのニーズが高まっています。エリアや立地条件にこだわりたい、設備仕様やプランにもこだわりたい、しかも予算の範囲内で、となると「中古住宅+リフォーム」という選択肢は大いに優先されるところです。

新築であろうと中古であろうと、マンションは一生の中でも桁違いの大きな買い物です。竣工前のマンションをモデルルームというサンプルだけを見て購入することに抵抗のある方もいらっしゃることでしょう。その点、中古マンションは現物を見て購入することが可能です。ただし、前住人のこれまでの暮らしぶりを見ることができるのではなく、その暮らしぶりというプロセスの結果を見ることができるだけだ、ということも理解しておく必要があります。現物を見ることができるからこそ、しっかりと観察したいものです。

今回は、新築マンションでは見ることができない管理とコミュニティの観察ポイントについて、先日訪ねた中古マンションの例も交えながらお伝えします。一緒に考えてまいりましょう。

中古マンション購入のメリットは「現物がある」こと。見て聞いて体感して選びたい

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中古マンション購入のメリットは「現物がある」こと

あなたは中古マンションを内覧しにいったことがあるでしょうか。内覧は、友達のマンションに遊びに行くのとは違います。見ず知らずの人の家へ、仲介会社の担当者と訪問するのです。なお、売りに出されている中古マンションは、所有者が住みながら売りに出しているケース、所有者または入居者が引っ越し済みで空家の状態となっているケースなど、状況は住宅ごとに異なります。

あなたが自分のマンションを売却する場合を想像するとイメージできるのではないでしょうか。空家にして売るならば、自分の新居を確保する必要があります。引っ越しする資金的な余裕があればいいですが、「実家も遠い、賃貸暮らしはもったいない、ましてや先に新居を購入する資金の余裕などはない、すべては自宅が売れてから考えよう」となるとそのマンションで生活をしながら売却依頼をし、内覧を受け入れることとなるのです。

中古マンションは、見て聞いて体感して選びたい

購入者であるあなたは、現在の居住者の暮らし方から間取りや設備等の使い勝手を知ることができます。内覧会の際、居住者の立会があれば、直接話を聞くこともできます。他人の住まいに自分の暮らしを置き換えて想像することは簡単ではないかもしれませんが、リビングテーブルはここに置こう、ベッドはこの部屋のこの位置がいいかしら、と自分の手持ちの家具や家電をどこにおいてどのように使えば快適だろうか、と具体的に考えていくとイメージしやすくなります。

中古マンション購入のメリットは、見たり聞いたり体感したりできることです。それは専有部分や現居住者だけではありません。エントランス、エレベーター、廊下、敷地、駐車場、駐輪場などの共用部分を見たり体感したりも重要です。さらに、住人を観察し、管理人さんにも話を聞いてみることをお勧めします。

中古マンションのコミュニティをチェック

建築後2年のマンションも築25年のものも同様に中古マンションです。目の前のマンションの事情によってチェックすべきポイントの優先順位が異なります。中古マンションに限らず不動産は個別性が高いため、自分の希望条件に見合うものをいくつかピックアップするという第一段階をクリアすれば、次の段階は個々に吟味していく工程です。

先日、見学に行ったのは築20年、180戸ほどの中規模のマンションでした。一度目の大規模修繕も10年近く前に完了しています。敷地内の樹木も青々と良く育ち、花壇には色とりどりの花が咲いて、穏やかに年を重ねている印象です。こじんまりしたエントランスには、七夕飾りがあり、子ども達が書いたであろう赤や青の短冊が下がっていて小学生を持つファミリーが入居していることが想像できました。

エントランスホール脇の掲示版を見ると、イラスト入りのシニア向けラジオ体操の案内チラシが貼ってありました。約180戸の住人は、子育て中のファミリーからシニアまでと、ライフステージに偏りがなさそうな印象です。築20年ともなると、新築当時に40代だった住人は60代。リタイア層が多くても何の不思議もありません。逆に、若い世帯が入居しているということは、利便性が良くて住みやすく、回転のいいマンションであるのかもしれません。

「シェアサイクル始めました」

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シェアサイクル始めました。使用者の感想を聞く連絡帳も設置するなど細やかな対応

目を惹いたのが「シェアサイクル始めました」という管理組合発信の大きな案内ポスター。一家に一台の駐輪スベースでは、昨今の一人に一台という駐輪事情には対応できません。そこで、管理組合で検討を重ねた結果、シェアサイクルという案が出てきたのでしょう。マンション全体、住人全体の課題に対して管理組合がしっかりと対応していることがうかがえ、大変好感が持てました。一事が万事です。恐らくこれまでも、そしてこれからも課題に対しては管理組合がしっかりと取り組んでいく風土が出来ているのだと思います。この後、建物の周りを見たのですが、なるほど臨時的な駐輪場があり自転車の多さに苦労している管理組合の状況がわかりましたし、管理人さんもそのようにお話しされていました。

コミュニティ、管理体制、そして住人

先のマンションの七夕飾りは、管理組合ではなく自治組合と子ども会の活動だとのことでした。管理組合やコミュニティの活動は、掲示板や共用部分を観察することで現況のヒントとなる情報が得られます。管理体制もまた共用部からの情報が有力です。エントランス、廊下、エレベーター、駐輪場、敷地、緑地等が、整然と管理されているかは、重要ポイントです。以前、訪れたマンションはエレベーターに落書きがあってがっかりしました。

また、別のマンションでは、日中が美しく掃除がなされているのですが、夜間におとずれた際にゴミやチラシが散らかっていてやはりがっかりしましたし、あらためて清掃スタッフサービス大切さを感じて、いろいろと考えさせられました。これは、管理体制というよりも、住人の意識の問題です。住人のマナー等も共用部分に現れます。

中古マンションを購入すれば、自分もそのコミュニティの一員です。両隣や上下階の住人だけでなく、マンションという同じ屋根の下で暮らしていく住人を観察してください。コミュニティを観察できることは、中古マンション購入ならではのメリットです。

五感を使って選ぶこと。そして、第六感で将来にわたっての居心地の良さを見極めること

コミュニティ活動が活発であることは、安心安全なマンションライフを送るための重要要素です。ただし、自分も管理組合の一員として協力していく必要があります。それが、自分のライフスタイルに合わなかったり、面倒で負担になったりするのであれば、それはあなたに合ったマンションとは言えないかもしれません。管理費が少々高くなっても、管理会社が管理組合活動のほとんどを代行するような体制がいいという考え方もあるでしょう。

そのようなことも、現場を見て、聞いて、体感するからこそ、自分の希望のライフスタイルに合致するかどうかを見極めることができるのです。「シングルやディンクスの方は管理組合の活動をどうしているのか」と率直に聞いてもいいのです。不明瞭なまま、大きな買い物をしてしまうことは避けねばなりません。

近頃は、災害への個々の備えの必要性が高まる一方です。人とのつながりも備えの一つです。そして、中古マンションが経年劣化していくのと同様に、あなた自身も年月を重ねています。先のマンションでラジオ体操に参加しているというシニアの方が、「現役の時は忙しくて、管理組合の活動なんてやってられないと思っていたけど、皆でラジオ体操するのはいい気持ちだ」とお話ししてくださったのが印象的でした。

あなたは、そのマンションで何歳まで暮らす予定ですか。今の自分だけでなく将来の自分の居心地のこともほんの少し考えてコミュニティを観察し、最適なマンションを選んでください。


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