年間100ステージ舞台に立って……。
NDT2 Photo:Joris Jan Bos
「最初の公演では、できない自分しかいなかった。泣きながらリハーサルをしていたことしか覚えてなくて、初舞台の記憶があまりないんです」
パートナリングなど初めての経験も多く、物理的に歯が立たない。何をどう言われても、できない、わからない。
「本当に何もできなかったです。パートナリングで床を転がる振りがあったんですけど、転がり方がまずわからない。勢いでやって唇を切って、血だらけになりながら練習してました(笑)」
バレエをベースにしながらも、動きはあくまでも自由。当時はまだそうしたスタイル自体珍しかった頃であり、NDTがいかに先鋭だったかがわかる。
「初めてのものに触れることができたという意味では、いい時代だったなって思う。今の子たちは最初から何でもできちゃうからスゴイなって感じます。でもみんなある程度知ってるからこそ、逆にこれから何をしていくか問われる部分はあるかもしれないですね」
NDT2ブラジルにて(右から3人目)
NDT には3年間在籍した。さまざまな踊りに触れ、成熟してきた自分を発見したとき、次に進もうと決めた。
「オハッド・ナハリンの作品が好きで、彼のもとで踊りたいという気持ちがずっとあって……。イスラエルにも何回も行っていて、穣さんと初めて会ったのもそこでした」
自分もオハッドのような作品を踊りたい。しかし、バレエにもまだ未練が残る。迷いの最中に出逢ったのが、マッツ・エックの『ジゼル』を踊るアナ・ラグーナ。“自分もこれを踊ってみたい!”と、エックのいるスウェーデンのクルベルグ・バレエを目指す。
プライベート・オーディションを受け入団。クルベルグ・バレエには一年間在籍している。
スウェーデン時代