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ダンサーズ・ヒストリー Noism1 井関佐和子(10ページ目)

りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館専属舞踊団Noismのメインダンサーとして、10年間に渡りカンパニーを牽引してきた井関佐和子さん。彼女が歩んできた舞踊家への道程とは? ここでは、井関さんのダンサーズ・ヒストリーをご紹介します!

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


10年の時を経て……。

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『中国の不思議な役人』(2011年)〈サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011〉オリジナル作品「バルトーク・ダブルビル公演」より 撮影:篠山紀信  撮影協力:サイトウ・キネン・フェスティバル松本

26歳でNoismに入り、現在36歳。この10年の間には、悩み苦しんだ時期もあった。
「30歳から33歳くらいまでが一番キツかった。たぶんそのころが身体の変わり目だったんだと思う。精神的に上向きになってるのに怪我をしたりと、心身のバランスが上手く取れない状態でした。近頃やっとバランスが取れてきて、ようやく調子が良くなったのを感じます」

しかし、舞踊家の寿命は長くはない。今やカンパニー最古参メンバーであり、最年長メンバーになった。舞台を去るべき日は確実に訪れる。自身の中で、その瞬間は見えているのだろうか。
「今はあまり考えてないし、あと10年は踊るような気がします。二年くらい前までは、自分に残された時間はもうあまりない、急がなきゃって思ってた。今はまだ若い子たちと一緒に踊れても、次第にできなくなっていく。昔はそんなことは許せないっていう自分がいたけど、大人にしか出せないものがあるってことがやっとわかった。それが嬉しい」

舞踊家として幾多の転機を乗り越えてきた、その自信は揺るぎない。10年という時間をNoismと共に歩んできた今、迷いはなく、余裕すら感じさせる。
「先のことはわからないけど、取りあえずこのまま穣さんと一緒に突き進んでいくんだろうなって思う。やっと遠い目で見つめられるようになってきて、同時にあせりがなくなってきました。今は40歳になったときの自分も見てみたいし、50歳になったときの自分も見てみたい。成熟した女性として踊っていけたらなっていう気持ちがある。それを考えたら36歳なんて、まだまだ若いのかもしれないなって思います」

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Noismにて(金森穣・小尻健太と共に)撮影:遠藤龍





プロフィール

井関佐和子
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撮影:篠山紀信

舞踊家・Noism副芸術監督。1978年高知県生まれ。3歳よりクラシック・バレエを一の宮咲子に師事。16歳で渡欧。スイス・チューリッヒ国立バレエ学校を経て、ルードラ・ベジャール・ローザンヌにてモーリス・ベジャールらに師事。1999年、ネザーランド・ダンス・シアターに入団し、イリ・キリアン、オハッド・ナハリン、ポール・ライトフット等の作品を踊る。2001年、クルベルグ・バレエに移籍し、マッツ・エック、ヨハン・インガー等の作品を踊る。 2004年4月Noism結成メンバーとなり、金森穣作品で主要なパートを踊る。2008年よりバレエミストレス、2010年よりNoism副芸術監督を務める。


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