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35年後の年金給付額は現役世代の約47%?

2019年8月に公表された「公的年金の財政検証」(社会保障審議会年金部会)によると、実質経済成長率が0%、合計特殊出生率1.44、平均寿命(男)84.95歳・(女)91.35歳の場合、20年後の年金の給付水準は現役世代の収入の約51.3%に、35年後は46.5%になる、とあります。2019年は61.7%でしたので、それぞれ現在の給付水準の85%、75%に低下します。2019年に金融庁が公表した「老後資金は2000万円」では、現在40歳の人は2割程度不足することになります.
 
少子高齢化の影響で、公的年金だけ老後の生活を賄うことはできない。

私が定年になるころ年金給付額は減りそう。老後資金の準備は万全にしておきたい。

 
では、大和財託(株)が2019年8月に行ったアンケート調査から、定年退職者の現状をご紹介します。
 

生活水準が低下した 8割

「生活水準が退職前より低下した」と定年退職者(150人)の79.3%が感じています。定年退職者の老後の生活資金源の割合は、年金が46.7%、貯蓄18.3%、資産運用8.3%、個人年金8.1%。再就職による給与は10.2%に過ぎません。
 
老後の収入の柱はやはり年金です。不足分を老後資金でカバーしており、節約志向にならざるを得ない姿が浮かび上がります。70代の定年退職者の57.2%が「退職前に老後生活に備えて対策や準備を行わなかったことを後悔している」、これは40~50代に向けての意味深いメッセージです。
 
次に(株)FPパートナーが20~59歳の社会人1500人に行ったアンケート調査(2020年1月実施)から老後資金に対する意識をご紹介します。
 
目標は3000万円だけどまだ30%程度しかたまっていない。70歳まで働く?

65歳でリタイアしたいが、資金の準備がなかなか進まない。頑張ろう!

 

貯蓄額1500万円以上 40歳代は12%

70代の後悔を知ってか知らずか、30~50代の7割程度が「人生設計について考えたことがある」と答えています。そして40代の5割、50代の7割が「老後の生活資金」に対し不安に感じている、と答えています。
 
●今不安に感じているお金の問題:すべての世代で「老後の生活資金」がトップ(複数回答)
  • 老後の生活資金  40代(49.3%) 50代(67.2%)
  • 理由はわからないが不安  40代(12.8%) 50代(7.5%)
  • 不安はない  40代(12.0%) 50代(10.4%)
 
●貯蓄額:40代の60%弱が500万円未満
  • 100万円未満  40代(27.2%)  50代(19.2%)
  • 100万円以上300万円未満 40代(20.3%)50代(18.1%)
  • 300万円以上500万円未満  40代(11.7%)  50代(10.1%)
 貯蓄額1500万円以上は、40代で10%弱、50代では20%弱です。
 
●資産運用:若くなるほど増え、40代35%、50代31%が(やや)ある​​​​​​​
  • ある  40代(9.1%)  50代(7.5%)
  • ややある 40代(26.1%)  50代(23.7%)
  • どちらとも言えない  40代(32.3%) 50代(34.4%)

●資産運用の方法:40代のトップは株式
  • 株式  40代(21.8%) 50代(25.7%)
  • NISA 40代(20.5%)50代(16.6%)
  • 投資信託 40代(18.8%) 50代(19.6%)
これら以外に保険やふるさと納税、iDeCoなどを利用しています。
 
ふるさと納税が資産運用の対象商品になる……? ふるさと納税で減額された税金相当額を資産運用する、と言うことなのでしょう。所得の多い人ほど税金の減額は大きいので、確かに資産運用対象商品と考えられなくはありません。ウ~ン、目から鱗です。
 
NISAやiDeCoを含め老後資金の準備に使える税制上メリットのある金融商品は意外と多くあります。先ず定番の財形年金貯蓄からご説明します。なお、ふるさと納税については、「ふるさと納税はなぜお得?人気の理由とその仕組み・節税効果」をご覧になってください。

 

勤務先によっては財形年金貯蓄やマッチング拠出制度が使える

老後資金準備の金融商品の代表は「財形年金貯蓄」です。勤務先が取り入れていれば、という条件つきですが、毎月コツコツと給与から天引き貯蓄し、目的以外での引き出しにはペナルティーがあるので取り崩しにくい。積み立てから年金受給の期間を通して非課税、という優れものです。

他に老後資金の準備に使える税制面での優遇措置がある制度はないのでしょうか。ありました、ありました。2012年1月に導入された「マッチング拠出制度」が似ています。

これは退職金・企業年金の制度に確定拠出年金(=DC)を導入し、さらにマッチング拠出制度を導入している企業の従業員が利用できるもので、従業員が自己資金を拠出して運用指示をします。

この制度には次の3つの優遇税制があります。
  • 拠出した掛金は小規模共済等掛金控除として所得控除
  • 運用益は非課税
  • 退職一時金は「退職控除」、年金は「公的年金等控除」の優遇税制
途中解約は原則不可能、60歳以降に年金あるいは退職一時金として受け取る、とまさに老後資金準備のための制度と言えます。運用商品には、預貯金のほか保険商品、投資信託などリスクのある商品も含まれます。もちろん、運用次第では拠出金を割り込む可能性があることに注意が必要です。

因みに「2018年度決算確定拠出年金実態調査結果」(2020年2月企業年金連合会)によると、マッチング拠出の実施率は53.8%、平均利用率30.6%、加入者掛金平均月額は7,549円です。

マッチング拠出制度の導入以降、税制面での優遇措置があり老後資金の準備に使える制度、しかも個人で加入できる制度が次々と創設・拡大されました。マッチング拠出と内容がよく似ているiDeCoからご紹介します。
 

iDeCoは企業型確定拠出年金の個人版

 
個人で老後資金を準備するには税制優遇のあるiDeco、NISA、つみたてNISAなどを利用するといいかな。

税制面でのバックアップが整ってきた。自助努力で老後資金の準備をする時代になったんだな。



iDeCoは、60歳未満の公的年金加入者であれば加入できる年金制度です。ただし、加入している企業年金の種類によっては加入できない場合があります。運用する金融機関や金融商品(定期預金・保険・投資信託)を自ら選び運用し、60歳以降に一時金あるいは年金で受け取ります。2020年4月時点の加入者は159万人です。
 
税制上の優遇措置は前出のマッチング拠出とほぼ同じですが、iDeCoは金融機関の口座開設・維持に手数料がかかります。金融機関によって手数料の金額や運用する金融商品が異なりますので、事前の比較検討が必要です。
 
なお、企業型確定拠出年金とiDeCoは、2020年5月に成立した年金制度改正法により大幅に変わります! 例えば、2022年4月受給開始時期を60歳~75歳の間で選択できる、同5月国民年金に加入していれば65歳未満まで加入できる、同10月企業型確定拠出年金加入者の加入条件を緩和、など加入しやすくなります。
 

NISA(少額投資非課税制度)は期間限定の制度

2014年1月にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)は、年間120万円までの株式や投資信託への投資に対して、その配当や運用益を最長5年、2023年開始分まで非課税にするという制度です。
 
2020年度の税制改正により、2023年に2階建ての制度になり、口座開設の期間や投資金額など、仕組みが大きく変わります。詳しくは、「令和2年度税制改正について」(令和元年12月 金融庁)でご確認ください。
 

■つみたてNISAも期間限定の制度

2018年1月に創設された「つみたてNISA」は、20歳以上の人が利用できる「少額・長期・積立・分散投資」を支援する非課税制度です。購入可能な商品は、国が定めた基準を満たした投資信託に限定されています。購入できる金額は年間40万円まで、その分配金や譲渡益は非課税、非課税期間は20年間、2037年開始分までです。
 
つみたてNISAも2020年度の税制改正で、非課税期間(=口座開設期間)が5年延びて2042年になります。
 

老後資金は運用次第――リスクに注意!

2014年と2019年の「公的年金の財政検証」を通して、公的年金の給付額は少しずつ低下していく、ということが明らかになりました。老後資金は今まで以上に自助努力が求められます。それを後押しするべく税制や年金制度の手直しも急ピッチで行われています。
 
老後資金の準備に使ってほしいと国が考えているマッチング拠出制度やiDeCo、NISA、つみたてNISAなどを利用する場合は、それぞれの制度の詳しい内容と運用商品、金融機関等について必ず前もって勉強・比較・検討してください。これらで運用する商品の中で元本保証はほんの一部。多くはリスク性のあるもので、完全に自己責任で運用するものです。仮に運用に失敗しても誰にも文句は言えません。老後資金に大きな穴をあけることを回避する賢明さを忘れないようにしましょう。

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