節税対策

隣の会社に差を付ける、税務調査虎の巻

事業をしていれば、避けることのできない税務調査。苦手な経営者の方も多いと思いますが、怖がる必要はありません。最新情報含め、税務調査の正しい対応法、教えます。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

最近の税務調査、手続面で改正あり

最近、税務調査の手続きが大きく変わってきています。きっかけは、平成23年12月に行われた改正です。この改正により、全ての処分に対する理由附記の実施と記帳義務の拡大等が定められました。個人の白色申告者についても、記帳と帳簿書類の保存が義務化されると同時に、青色申告者と同様に理由附記がなされるようになりました。この改正の結果、税務署の内部事務作業が以前に比べて増えたため、最近の実地調査件数は減っているのが現状です。

また、上記の平成23年12月改正では、税務調査の事前通知については、納税者と税務代理人である税理士等の双方に対して通知することとされていましたが、平成26年度改正により、平成26年7月1日以後に行う事前通知については、税務代理権限証書に納税者の同意が記載されている場合には、税理士等に対してすれば足りることとされました。

アポなし調査は認められるのか?

原則、税務調査が行われる際には事前通知が行われます。調査日時については、納税者の都合も考慮して柔軟に対応してもらえますので、こちらの都合の良い日を提示することが可能です。

ただし、中には事前通知が行われない、いわゆる「アポなし調査」が実施される場合があります。申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、違法行為や不当行為により、正しい税額等が把握できなくなる恐れがある、調査を適正に遂行するのに支障を及ぼす恐れがある、と税務署が判断した場合には、事前通知がされないことがあります。しかし、単に不特定多数の取引先との間において現金決済による取引をしているということのみをもって、事前通知がされないということはありません。

また、事前通知なしに税務調査が行われたとしても、法令上、事前通知を行わない理由を説明することとはされていません。

税務調査における心掛け

税務調査では、できるだけ実地調査の日数を減らすことができれば、納税者にとって有利になります。そのためには、書類の提出や税務署からの質問事項などにできるだけスムーズに対応し、税務署に協力することが大事です。税務署としても、無駄にダラダラと調査を引き延ばそうと思っているわけではありませんから、そのあたりの向こうの意図も汲み取った上で対応していきましょう。

ただ、わからないことについては、「調べてからお答えします」とはっきり言って頂いて構いません。税務署への返答を急ぐあまり、焦ってあいまいで中途半端な回答をすれば、後々トラブルの種になりかねません。また、聞かれていないことに答える必要はありません。あくまで回答するのは、税務署に聞かれたことだけです。あらぬ疑いをかけられないためにも、余計なことは話さないようにしましょう。

税務署とのマル秘交渉術

実地調査が終了したら、修正項目について税務署と交渉しなければなりません。ここで大事なことは、全ての項目が出揃うまで交渉は始めないことです。まだ他にも修正項目があるかもしれない段階であれこれ議論しても意味がありません。

全ての項目がテーブルの上に並んだら、交渉開始です。修正項目が金額的に少なく、重要性も低い場合には、まずは今後の是正で認めてもらえないか、交渉してみましょう。それが難しい場合には、項目を絞ることができないか、修正年度を絞ることができないか、粘り強く交渉してみましょう。

また、重加算税の指摘を受けている場合には、それを回避することが重要です。重加算税は35%(無申告の場合には40%)という高い税率で課税されるだけでなく、申し送り事項として今後の調査にも大きな影響を与えます。調査官は、重加算税案件が取れると署内で評価されるようですので、そのあたりの事情も調査に影響している場合があります。ただ、重加算税は隠ぺいや仮装の事実がないと課税できませんので、その点をしっかりと主張していくようにしましょう。

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