価格の上昇によりバランスが崩れ、品薄状態に
2014年に入り、絶妙なバランスが崩れ始めました。発売戸数が大きく減少し始めたのです。2014年の1~5月の新規発売戸数は7037戸で、前年マイナス約21%(前年同期間実績8901戸)となっています。発売戸数の減少の要因は、建築費の高騰により新規発売物件の価格が大幅に上昇することになったからです。マンションデベロッパーは、この価格がマーケットで受けいれられるかどうかを見極めるために、発売戸数を減らしたり、販売時期を遅らせたりしながら様子を見ているのです。また、建築費だけでなく、土地の価格も上がり始め、来年には消費税の増税が予定されていますので、価格がすぐに下がってくる要素が見当たりません。この現象は、全国的なもので、関西の建設業界も大きく影響を受けています
さて、価格が上昇し、供給戸数が減っていきますが、好調を支えた他の2つの要素はどうなるのでしょう。超低金利に関しては、上昇懸念はあるもののしばらく買いやすい状況は続くでしょうし、立地条件の良い魅力的なマンションが発売される傾向は、今後も続いていきます。
そうなると、今後のマーケットで起こる現象として考えられるのは、品薄感(選択肢の減少)です。
図4は新築マションの年末販売中在庫数と契約率の年別推移のグラフ(1998年~2014年3月末・ 販売中在庫数の2014年は5月末段階)です。
2010年から、今年の3月まで、常に高い契約率を保ち続けていますので、年末販売中在庫数は年々減少し続け、今年に入ってもまだ減少しています。(年末販売中在庫数とは、一度発売された後、年末段階でもまだ販売中の住戸の総数です。2014年は5月末段階の数字)
今後もしばらくは順調に売れると予測されるので、供給数が減少し、在庫数が減少するとなるとマーケットに出ている数がどんどん少なくなっていきます。また、条件のいい住戸や人気の住戸から売れていくことに加え、価格の上昇により、手が届かなくなる住戸も出てくるため、販売されていても、選択肢から外さなければならなくなるものもでてきます。
2014年の後半から、今までのバランスが崩れて、今年の後半から来年にかけて新しい価格の相場が形成されていきそうです。時間とともに選択肢が少なくなる恐れが出てきますので、これからはスピード感が必要になってくるでしょう。