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Kinectが周辺機器になる日(2ページ目)

まだ日本では発売前のXbox One。しかし、早くも海外では大きな仕様変更が発表されました。それは、Xbox Oneの目玉機能の1つであるKinectを搭載しないパッケージを発売するというもの。これは、Xbox Oneのプラットフォーム戦略そのものに、大きな影響を与える決断であるといえます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

埋めがたかった100ドルの差

PS4の図

今、ワールドワイドで最も勢いのあるハードはPS4です

Xbox Oneが路線変更の大きな背景には、ライバルであるPS4の快進撃があります。そもそも、Xbox OneとPS4は非常に似たハードです。性能も似ていますし、発売されるソフトも多くはXbox OneとPS4で同じソフトが発売されています。

両方のハードで発売されるタイトルが増えれば増える程、ゲームユーザーの判断基準はゲームソフト以外のところにも広がります。そこで大きなポイントとなったのが価格です。PS4の北米価格が399ドル、対してXbox Oneは対して499ドル、Kinectが搭載されている分100ドル高いというのが、Xbox OneとPS4の関係でした。

もちろん、Kinectに魅力を感じているユーザー、Haloシリーズなどマイクロソフトのゲームタイトルのファンなどは、100ドルの差があってもXbox Oneを買うでしょう。しかし、概ねどちらでも似たようなゲームが遊べるとなると、こだわらないユーザーは安いほうを選びます。

このことは逆にいうと、マイクロソフトはこの次世代ハードの市場争い序盤において、100ドル高くてもKinectを使いたいと思わせることに失敗した、ということでもあります。PS4は2014年4月6日付けで世界での販売台数700万台突破したと宣言、一方、Xbox Oneは4月17日に出荷台数500万台突破を発表。PS4は実売(実際にユーザーに売れた数)で、Xbox Oneは出荷台数(メーカーが流通に出荷した数)であることにご注意ください。実際にはさらに大きな差が開いていると考えられます。この状況を誰よりも深刻に考えているのは、マイクロソフト自身でしょう。

Kinectを持っている人と持っていない人がいる、ということ

Kinectアドベンチャーの図

Kinect専用、あるいはKinectならではのゲームというのは、どうしても作りにくくなります

マイクロソフトはその100ドルの差を埋めるために、Kinectが装備されないパッケージを用意し、価格を北米で399ドルに設定しました。Kinectを標準装備しないパッケージが発売されるということは、Xbox Oneの戦略に大きな変化を与えます。

Kinectが標準装備されていれば、全てのサービスやゲームが、Kinectがあることを前提に考えることができますが、これからは、Kinectを持っていない人がいることを考慮した設計になる、ということです。当然、Kinect専用ゲームや、Kinectで遊んでこそ面白いゲームは、マーケティング的に不利になりますし、開発も慎重になるでしょう。

それは、Xbox Oneにとって主砲であったKinectがサブウエポンの位置になる、ということです。それはユーザーだけでなく、ゲームを開発、販売するサードパーティーにも、Xbox OneはKinectで勝負するよりも100ドルの差を埋めることを選択した、というメッセージを発することになります。

次世代据え置きハードが3つそろってまだ半年程度ではありますが、各プラットフォームの考え方が徐々に見えはじめてきています。
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