定年後の働き方は現役時代の準備にかかっている
実益と充実感を両立させた働き方を目指そう
例えば、仕事で培った技術力や能力を生かし、高齢者専門の派遣会社やシニア海外ボランティアで働く、語学力を活かして翻訳家や通訳になる、DIYや園芸の趣味を生かしてホームセンターでパート勤務する、在職中の経験を活かしコンサルタントやセミナー講師になる……。
収入は不安定かも知れません。しかし、これまでの経験をフルに活用し、仕事と時間を楽しむ、実益と充実感を手に入れる働き方です。もちろん、必要な資格を現役のうちに取ってスキルアップに励み、新しい仕事に繋がる人脈を作っておく必要があります。
再雇用の状況は、定年前と同じ、いやそれ以上に、健康や技術、能力、指導力などが待遇や給与・賞与などに反映される時代へと変化しつつあります。営業ノウハウや技術力などの高いスキルを持ち、更にそれを若手社員に伝承する力(=指導力)を持つことで、好待遇だけでなく高いモチベーションを持って、65歳といわず70歳まで働き続けることも可能になるでしょう。
そのためには現役時代からスキルアップに努め、「これができるのは●●さん」という評価を得る働き方が求められるのではないでしょうか。
老後の働き方こそワークライフバランスが重要
少子高齢社会の大問題である労働人口減少の対策として、2014年4月13日、政府有識者会議「選択する未来」委員会は、現在の生産年齢人口(15~65歳)を15~70歳以下と定義しました。これを踏まえ、社会保障の改革を含んだ70歳現役のシナリオが今後作られるのでしょう。しかしここには、人間の健康や命への視点が抜けています。65歳あるいは70歳まで働くとは、肉体的にはどういう意味を持つのでしょうか。
平成22年の健康寿命(=健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は男性70.42年、女性73.62年(厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」より)です。公的介護認定率は65~69歳が2.6%、70~74歳は6.3%、75~79歳は13.7%、80~84歳は26.9%、85~89歳45.9%と、75歳から要支援・要介護になる人が急増します。
65歳~70歳まで働き退職金と年金をもらっても健康で自由に老後を楽しむ期間はそれほど長くはない、が現実なのです。
50歳になったら人生を振り返り、老後のライフプランとキャッシュフロー表を作成し、どのように働きたいのか、何歳でリタイアできる(したい)のかなどを明確にしましょう。さもないと、気が付いたら働き蜂のような一生だったということになりかねません。老後の働き方は、若者以上にワークライフバランスが求められます。