サムスンのコスト・リーダシップ戦略の成果と限界

ここ数年の競争激化で、浮き沈みの激しい戦いを展開している内外家電メーカー。競争優位を勝ち取るための基本戦略を解説しつつ、内外家電メーカーの代表例としてサムスンとシャープの戦略をここに落とし込んでみたいと思います。

事業には同じ分野の製品、商品、サービスを扱うライバル企業の存在は付きものであり、そのライバルに対していかにして優位に立つかが戦略策定上重要なポイントになってきます。経済学者のマイケル・ポーター教授は、競争優位に立つための基本戦略には3つのやり方があるとしました。コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略です。

解説

サムスンはコスト・リーダーシップ戦略で市場を一時席巻した

コスト・リーダーシップ戦略
は、より安価な製品価格の提供により競争優位に立つ戦略のこと。求められる技術力が一定の競争環境下において、コストを主な競争要因としてさまざまな手立てを取りながらライバルに比しての低コストを実現します。典型的な低コスト戦略は、初期投資をかけて生産拠点を拡大し一層の大量生産システムを構築。受注の拡大に伴って加速度的に生産コストを下げることで、高いシェアを獲得していくというものです。シェアが伸びて生産量が拡大すればするほど、規模の経済的効果と経験曲線的効果にさらに一層の低価格化が可能になり、確固たる業界リーダーの地位を築くに至るのです。

韓国の家電メーカー、サムスンの躍進は、コスト・リーダーシップ戦略を地で行ったものであったと言えます。97年の通貨危機以降、サムスンは生き残りを賭けた大転換策に打って出ます。技術力で争わないアジアを中心とした新興国のニーズを入念に掘り起こし、日本が本気で攻めていなかったこの地域で圧倒的なシェアを実現。世界における生産量を飛躍的に増加させ、規模の経済と低い人件費そして折からのウォン安を背景に、国際的な価格競争において日本の家電メーカー各社を圧倒したのです。

サムスンの成功はまさしく、コスト・リーダーシップ戦略の賜でした。しかし現在では、そのサムスンもまたより安価な中国製品の台頭に押されており、コスト・リーダーシップ戦略は新たな低価格化ビジネスモデルの前には簡単に破れ去るリスクもはらんでいるのです。