毎月、先月発表されたニュースの中から今後の動向が気になるトピックスを厳選してお届け。今回は2014年4月分です。
【今回注目したニュースはこれ!】
新たな活躍の場になるか?企業内弁護士が増加中
かつての「売り手市場」のイメージも今は昔、最近では「就職難」も取りざたされている「弁護士」について、注目の数字が発表されました。4月14日付の日経新聞によれば、企業に雇用される弁護士の人数が、5年前の3倍となる1千人を初めて超えたとのこと。
そのデータのもととなっているのが日本組織内弁護士協会(JILA)が4月7日付で発表した、「企業内弁護士の男女別人数(2001年~2013年)」で、この調査結果によれば、企業が雇用する弁護士の人数は2013年6月時点で965人まで増加。これは5年前と比べると約3倍の数字です。
あれ?965人じゃ、1千人を超えていない?
実は、日経新聞のニュースソースがもう一つ。それが日本弁護士連合会がまとめている新人弁護士の就職状況調査で、昨年末に司法修習を修了した弁護士の内、今年企業に就職した人数は58人にのぼるとか。
というわけで、この2つを足した数が1千人を超えている、ということのようです。
2つの調査結果に重複がないのか素朴な疑問はあるものの、企業のグローバル化に伴い、M&A(合併・買収)や法務リスクへの対応が急務であることは確か。企業内弁護士ニーズ増加の背景には、こうした企業状況の変化があるようです。
2004年、小泉政権の下で行われた「規制緩和」の動きは資格制度の分野にまでおよび、当時の政府は司法試験合格者を「2010年頃には年間3000人程度」とする数値目標を閣議決定。それによって誕生した法科大学院は一時は大ブームとなり、一種の乱立状態となりました。
ところが新試験開始から10年経過した頃には、合格率が著しく低迷したり、入学者が定員を大きく下回るなど大学院ごとに明暗がくっきり。
また、制度改革に着手した当時は、企業内弁護士など、一般企業での活躍の場の拡大も視野に入れられていたようですが、なかなか受け皿が増えない状態が続いていました。
司法制度改革を受けて、弁護士人口も大幅増加。それに伴い、従来多くの弁護士の就職先であった「法律事務所」も狭き門となり、昨今では新人弁護士の就職難も顕在化。
ここにきての「企業内弁護士」の増加で、やや薄日が差してきたといったところでしょうか。