コルベット以外の何モノでもない
鋭いラインの数々が特徴的なエクステリアデザインは、C3スティングレイのグラマラスなコークボトルルックを彷彿とさせるもの。ちなみに、このC7、本国ではC3以来となる“スティングレイ”の名称を復活させている。C5以来のレース活動経験から得られたエアロダイナミクスを応用しており、新しいけれども、どこからどう見てもコルベットなスタイルに仕上がった。インテリアの見栄え質感も、そうとうに高い。コルベットの内装というと、少し前までは本当に安っぽかったが、C7はまるで違う。フルラップレザーのダッシュボードフェイシアによって囲まれたコクピットの周りには、アルミニウムやカーボンファイバー、レザーハイドといった高級マテリアルがふんだんにあしらわれた。欧州プレミアムブランドに勝るとも劣らないフィニッシュだ。
センターコンソールには、ついにドライビングモードを選ぶダイヤルが備わっていた。逆にいうと、走りの電子デバイスが必要になったくらい、コルベットのスポーツカーパフォーマンスが現代レベルに高まったということだ。
選択モードは、ウェザー、エコ、ツアー、スポーツ、トラックの5種類(デフォルトはツアー)。各モードに合わせて、ステアリングアシスト量、スロットル開度、燃料マネージメント設定、エグゾーストシステムのモード、マグネティックライド(装着車)設定、トラクションコントロールにスタビリティコントロールの設定、そして、メーターディスプレイの組み合わせが変化するというもの。
旧型のスチールより45kg軽く、57%剛性が高まったアルミフレームを採用。カーボン製エンジンフード、カーボン・ナノコンポジット製アンダーパネル、複合素材のフェンダーやドアなどの軽量素材が用いられ重量を1580kg(Z51)とした
オールアルミニウムのボディフレームも見どころの一つ。旧型のC6では高性能モデルのZ06やZR1にのみ使われていた、レーシングフィールドからのフィードバック技術である。今回は新設計としたうえでベースモデルにもこの手法を採用した。逆にいうと、すでに先代のZR1あたりで、欧州の名だたるスーパースポーツと同等の絶対性能を得ていた、というわけなのだが……。
あらためて、日本の路上で見るコルベットは、いかに最新モードで身を包み、過去3世代からの呪縛から逃れようとしたとはいえ、やはり、コルベット以外の何モノにも見えない。それでいて、十分に新しく見えているから、デザイナーの力量を称賛すべきだろう。