ブルー・デ・コースの生産地の様子
2014年2月、このブルー・デ・コースの産地を訪ねてきました。南仏、モンペリエ空港から車で内陸へ約2時間。灌木の生える土地や石灰岩の崖を見ながら進むと目の前に開ける雄大な風景。ここはフランス南部、ミディ・ピレネー、ルエルグ地方。そこに広がる“グラン・コース”と呼ばれる石灰台地、中でもタルン川が造りだすタルン渓谷を中心とした一帯でブルー・デ・コースは作られています。
羊乳製のロックフォールと牛乳製のブルー・デ・コース。見た目も製法も産地もほぼ同じで原料乳が違う2つのチーズが生まれたのには理由があります。
ルエルグ地方アヴェロン県では、昔から羊乳業者と牛乳業者が同じ協同組合に加入し、羊乳と牛乳、そして時には山羊乳を混ぜてブルーチーズを作っていました。ところが、1925年にA.O.C.(原産地呼称統制)チーズとしてロックフォールが認定されるにあたり、「ロックフォールの原料は羊乳」と規定されてしまいました。それに伴い、協同組合も羊乳業者と牛乳業者に分かれる事に。そして、A.O.Cの規定から漏れてしまった牛乳業者が牛乳のみで作るようになったのが、“ブルー・デ・コース”です。もとは同じチーズだった両者。だから、生産地域も製法もほとんど同じなのです。
※ロックフォールについてはこちらの記事をご覧ください。
ブルーチーズの最高峰、ロックフォール
そんなブルー・デ・コースを熟成しているカーヴを訪ねました。
製法はロックフォールとほぼ同じなので、熟成には石灰岩の自然の洞窟が必須です。
自然の洞窟を利用した熟成庫が広がるのは狭い階段を降りた地下。年間を通して温度・湿度が安定している事が、チーズを美味しく熟成させるための重要な条件です。
>>次のページでは、ブルー・デ・コースのカーヴでの熟成の様子をご紹介します。