開業率引き上げは、国家プロジェクト
今、安倍政権は開業率・廃業率ともに10%への引き上げを目標としており、開業率を引き上げるために、国は様々な施策を打っています(ここでは廃業率はいったん置いておきます)。今回はこれらの施策の中から、注目すべき制度を取り上げ、ご紹介していきたいと思います。開業率引上げに向けて、国は様々な施策を打ち出しています。
創業融資制度の拡充
創業する際には事業実績がないので、融資なんて受けられない、と誤解していらっしゃる方もおられますが、実際はそのようなことはありません。日本政策金融公庫なら、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方に無担保・無保証人で利用できる創業融資制度が用意されています。事業年度開始後税務申告を2期終えていない方が一定の要件を満たせば、利用することができます。平成25年度補正予算成立により、内容が拡充され、非常に使い勝手の良い制度となりました。
1.融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)
2.自己資金 開業資金総額の1/10
(一定期間の勤務経験を有する方等は、自己資金なしでもOK)
3.返済期間 設備資金15年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金5年以内(特に必要な場合7年以内)<うち据置期間1年以内>
以前は、自己資金が開業資金総額の1/3必要でしたが、一定期間の勤務経験を有する場合などは、自己資金不要でも融資を受けられるようになりました。また、融資限度額も以前の1,500万円から3,000万円に倍増しています。
もう1つ、日本政策金融公庫でおすすめの融資は、マル経融資(経営改善貸付)です。商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の方が無担保・無保証人で利用できる制度です。
1.融資限度額 2,000万円
2.返済期間 設備資金10年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金7年以内(うち据置期間1年以内)
3.利率 固定1.45%(平成26年4月9日現在)
マル経融資は、平成26年4月1日から融資限度額が1,500万円から2,000万円に引き上げられました。4月9日には金利の改定も行われ、1.6%から1.45%に下がっています。保証協会付融資と違い、金利以外の保証料は一切不要です。
また、日本政策金融公庫は4月から、創業専門の相談電話「創業ホットライン」(0120-154-505)を開設していますので、これを活用するのも1つです。なお、弊社では日本政策金融公庫への紹介状を書くことが可能ですので、お気軽にご相談下さい。
最高200万円の創業促進補助金、申請は6/30まで
創業時の資金調達として、公的融資以外に助成金制度もあります。その1つが創業促進補助金です。概要は、以下のようになっています。1.補助対象者
創業を行う個人、中小企業・小規模事業者等
(1)地域の需要や雇用を支える事業や、海外市場の獲得を念頭とした事業を日本国
内において興す起業・創業を行う者
(2)既に事業を営んでいる中小企業・小規模事業者・特定非営利活動法人において
後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに業態転換や新事業・新分野に進出
する[第二創業]を行う者
2.補助金額
負担経費の2/3補助(上限200万円)
※補助金額が100万円未満(=負担経費150万円未満)は対象外
3.補助経費
店舗借入費、設備費、人件費、マーケティング調査費、広報費、旅費、謝金等
締切は平成26年6月30日となっていますので、申請を検討される方はお早めに準備されることをおすすめします。なお、弊社は認定支援機関に認定されていますので、上記補助金申請のサポートが可能です。
税制面でも創業をサポート
創業後の税負担が少なくなる税制改正も、最近どんどん導入されています。創業1期目に使える税制として、以前になかった制度が所得拡大促進税制です。これは、雇用拡大や賃金引上げを促すために導入された優遇税制で、本来は特に創業者向けの税制ではなく、雇用者給与等支給額(注)を一定割合増加させた場合に税額控除が受けられる制度ですが、創業1期目については特例があります。具体的には、創業1期目のみ、雇用者給与等支給額の3%(=(100%-70%)×10%)の税額控除を受けることができます(その適用事業年度における法人税額の10%(中小企業は20%)を限度)。
また、設備投資分野においては、工業会等で生産性向上に資することを証明した生産等設備への投資を対象として、初年度100%償却や最大10%の税額控除が受けられるようになりました。これは製造業だけでなく、例えば飲食店などの商業・サービス業でも利用することができます。
今回の情報が、創業を検討されている方の参考になれば幸いです。
(注)雇用者給与等支給額=国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、その適用事業年度において損金算入される金額