電子手形の発行と受取
FAXやメールで電子手形の発行や支払の連絡がある
取引日(品物の納品など)に電子債権記録機関に電子手形情報が記録されると「振出」の完了になります。「振出」記録が終わると受取企業は受取内容の照会をすることができます。手形を振り出す企業は下請法との関係で、手形の支払サイト120日以内という制限がありますが、これは電子手形でも適用されます。
支払期日になると振出企業の口座から代金を引き落として、受取企業の口座に振り込みされますので、手形のように銀行へわざわざ手形を持ち込む必要はありません。また手形は支払期日の翌日に現金化できますが電子手形は支払期日当日に現金化できます。
電子手形は支払日前に現金化でき、分割までできる
電子手形は支払日前に現金化でき、分割までできる
裏書譲渡は受け取った手形を別の支払にあてることです。手形の裏面に署名と捺印をし代金の代わりとして手形で支払うことができます。電子債権記録機関に「譲渡記録」を行うことで、電子手形を割引できます。裏書譲渡では保証記録(手形の裏書保証と同じ)を行います。電子手形は中小企業をはじめとする金融の円滑化・効率化をはかることが目的ですので譲渡禁止にすることはできません。
電子手形ならではの特徴として分割ができます。100万円の紙の手形を銀行に持ち込んで割引することで現金化はできますが、50万円だけ現金化して、50万円は手形として残すことはできませんが電子手形なら可能です。
手形なので信用調査は必須
手形なので信用調査は必須
手形と同じで電子手形にも取引停止処分があります。債務者が6か月以内に2回以上支払不能となると、電子手形の利用ができなくなり、参加金融機関との間の貸出取引が2年間禁止となります。取引停止処分は全ての参加金融機関に通知されますので、原則、銀行取引はできなくなります。
電子手形でも手形と同様、期日に本当に支払ってもらえそうか信用調査は必須です。
電子手形の利用料金は
料金は銀行によって異なりますが、大体、発生記録手数料が1件あたり432円。これは電子手形の登録料で振り出しをする企業が払います。受け取り企業の負担は決済手数料が216円、譲渡したり分割すると記録手数料が324円かかります。これらは振り出しと受け取り企業が同じ三井住友銀行の口座を使っている場合で他行の場合は振込手数料などと同様に少し高くなります。利用時間は当日扱いは銀行営業日の8~15時になります。新しい金融手段として急速に広まっている電子手形。取引先から「電子手形で支払ってもいい?」と問い合わせが入っても対応できるよう事前に取引先金融機関に資料をもらっておくなど準備しておきましょう。